デンマークで病気になったら?
デンマークで医療保険は税金でまかなわれています.診察を受けるのも,病院で手術するのも原則的に無料です.デンマーク人は,熱があるとかどこかが痛いとかいってすぐに医者のところに行ったりしません.よほどのことがなければ医者にかかる必要はないと考えています.ほとんどのデンマーク人はかかりつけ医をもっています.腰痛,インフルエンザから鬱といった精神症状まで,健康上のどんな問題であっても,まず自分のかかりつけ医に相談します.専門的な治療が必要だとかかりつけ医が判断すれば,皮膚科医,精神科医などの専門医に紹介状を書いてくれます.病院の入院も,かかりつけ医の診察を経なければできません.かかりつけ医をとばして直接病院に出向くことはできないのです.例外は,不測の事故などによって救急医療を受ける場合で,このときは,救急車で直接病院に運び込まれることになります.
この黄色いカードは,一般的にデンマーク語でsygesikringskort / sygesikringsbevisと呼ばれています.2007年以降は公式にsundhedskortに改名されているようです.
医療保険が税金でまかなわれているため,誰もが必要なときに同様の医療を受ける権利があると考えられています.デンマークではすべての国民に黄色いプラスチックの医療カードが発行されています.そこには,名前,住所,中央個人登録番号,かかりつけ医の名前と電話番号が明記されていて,医者にかかるときにはいつも提示しなければなりません.誰でも持っているものなので,図書館などで身分証明書としても使われています.
デンマークの社会保障システムは常に議論を引き起こしているテーマです.社会保障予算を削減すべきだと主張する人もいて,なかには医療の自己負担を導入しようという声もありますが,それを支持する人は少数派です.ほとんどのデンマーク人はお財布を気にせず医療を受けられることに満足しているのです.
ちなみに,外国人がデンマーク旅行中に不慮の事故で負傷したり急病にかかったりしても,デンマーク人同様,無料で救急医療を受けることができます.しかし,それはあくまで救急医療のみです.慢性的な自分の持病をデンマーク旅行中に治療するなどといった甘いことは通用しませんのでご注意を.