これまでに形容詞の未知形変化,既知形変化について学びましたが,ここでは形容詞の比較変化について学びましょう.
比較変化とは,形容詞の程度の差を表すための語形変化,つまり原級・比較級・最上級を表す語形変化のことです.
まずは,規則的な比較変化をする形容詞を見ていきましょう.
➢ このグループでは,比較級の語尾は -ere,最上級の語尾は -estとなります.
➢ 1音節語は原則として規則的な比較変化をします.
注意!
lækker は2音節からなる語です.また,強勢は第1音節 læ- にあります.そして第2音節である -kker には強勢がありません.
この強勢のない音節では,母音字eは非常に弱く発音されます.そのために,lækkerにさらに語尾が続く場合は,この第2音節にあるeが省略されます.
また,この強勢の置かれないeの直前に,lækkerのように子音字が重複している ( -kk- ) 場合は,語尾が付くとeとともにそれらの子音字の1つが省略されます.
lækker + -ere → lækkerere → lækrere
lækker + -est → lækkerest → lækrest
次に語尾が -ig, -lig, -som に終わる形容詞を見てみましょう.
➢ このグループでは,比較級の語尾は -ere,最上級の語尾は -stとなります.
次に,不規則な比較変化をする形容詞について見ていきましょう.
➢ これらの形容詞は,比較級・最上級で現れる母音が,原級で現れる母音とは異なります.
➢ これらの形容詞は,比較級・最上級が原級とは,全くと言っていいほど異なる形態をしています.
このように不規則な比較変化をする形容詞は,語形変化を覚えるのが大変ですが,頻繁に用いられる形容詞ですので,頑張って覚えましょう.
これまでに見た形容詞はどれも,語形を変化させて比較級・最上級を表していのに対して,外来語,多音節語,過去分詞からできた形容詞,名詞からできた形容詞,合成語などは,(英語のmore, mostに相当する)mere, mestを用いて比較変化を表します.
注意1
Jeg var mere tørstig end sulten.
私はお腹がすいたというよりは,喉が渇いていた.
[tørstig (-t, -e): 喉が渇いた]
[sulten (-t, sultne): 空腹の]
このように,異なる性質を表す形容詞を比べる際には,tørstigのように語形変化が可能な形容詞で合っても,mereを用いることが必要となります.
注意2
尚,先ほど-ig, -lig, -somに終わる形容詞は,語形変化によって比較級,最上級を表すと述べましたが,最近では,語形変化を伴わずに,mere, mestを用いて表すことを好む人もいるようです.
デンマーク語でも,英語同様に,〔har + 動詞の過去分詞〕で現在完了形を作ることができます.また,英語と同様に現在完了形を用いて,「継続」・「経験」・「完了」などを表すことができます.
Vi har været i Danmark tre gange.
Henrik har boet i Japan i 2 år.
[Henrik:男子名]
[bo (-ede, -et):住む]
Har du nogensinde mødt ham?
Bente har aldrig spist rå rejer.
[Bente:女子名]
[aldrig:決して~ない,一度も~ない]
[reje (-n, -r):エビ]
まずは,過去分詞形の作り方を学びましょう.
まずはこれまでに習った不規則変化動詞の過去分詞形を確認しましょう.
― 不規則変化動詞の例 ―
次に第1規則変化動詞そして第2規則変化動詞の過去分詞形を確認しましょう.
― 第1規則変化動詞の例 ―
➢ 第1規則変化動詞における過去分詞形の変化語尾は,-et です.
➢ この -et という語尾のtは,
― 第2規則変化動詞の例 ―
➢ 第2規則変化における過去分詞形の変化語尾は,-t です.
注意!
第6課までに習った動詞の「不定詞形」,「現在形」そして「過去形」の発音に関しては,第6課の「文法解説」を参考するようにしてください.
― 完了の助動詞について ―
第7課のスキットでは,〔完了の助動詞(現在形) + 動詞の過去分詞〕で現在完了を表している文が2つありました.
Har du nogensinde mødt ham? これまでに彼に会ったことがありますか?
Min søster er lige begyndt at arbejde som sygeplejerske. 私の姉は看護師として働き始めたばかりです.
最初の例文では,英語同様,完了の助動詞がharです.しかし2番目の例文ではer begyndtとなっていて,完了の助動詞として英語のbe動詞に相当するerが用いられています.
つまり,デンマーク語の完了の助動詞には,haveとværeの2種類があり,現在完了を表す場合は,それぞれの現在形harとerが,そして過去完了を表す場合は,それぞれの過去形havdeとvarが使われることになります.
― 完了の助動詞 have とvære の使い分け ―
では,この2つの助動詞をどのように使い分けるかということを理解するためには,まずデンマーク語の動詞が,表される意味内容によって3種類のカテゴリーに分けられることを知らなければなりません.
デンマーク語の動詞は,
(1) 「状態動詞」(状態が継続することを表す動詞)
(2) 「非状態動詞」(上記以外を表す動詞)
の2つのカテゴリーに分けられます.
次に (2)「非状態動詞」は,
(2a) 「動作動詞」(時間的幅を持って行なわれる動作を表す動詞)
(2b) 「変化動詞(推移動詞)」 (その行為が瞬間的に完了してしまうことを表す動詞)
というさらに2つのカテゴリーに分けられます.
これらの3つのカテゴリー((1), (2a), (2b))の動詞について,以下の例で確認しましょう.
3つのカテゴリー全てに,それぞれ自動詞(目的語を必要としない動詞)と他動詞(目的語を必要とする動詞)が存在します.
(1) 状態動詞
自動詞:være <~である;存在する>,bo <住んでいる>,ligge <横たわっている>,mangle <欠けている>
他動詞:have <持っている>,eje <所有している>,forstå <分かっている>,vide <知っている>,ligne <似ている>
(2) 非状態動詞
(2a) 動作動詞
自動詞:arbejde <仕事をする>,spekulere <考える>,protestere <抗議する>,spadsere <散歩する>
他動詞:diskutere <議論する>,snitte <刻む>,slå <叩く>,pleje <看護する>,vejlede <指導する>
(2b) 変化動詞(推移動詞)
自動詞:blive <~になる>,komme <来る>,dø <死ぬ>,forsvinde <消失する>,falde <落ちる>
他動詞:drikke <飲む>,dræbe <殺す>,knuse <砕く>,vælte <倒す>
上記のことを踏まえて,haveとværeの使い分けについて見ていきましょう.
― 完了の助動詞にhaveが使われる場合 ―
対象となる動詞が,上記の3つのカテゴリーのどれに属していようとも,その動詞が他動詞である場合には,完了の助動詞はhaveとなります.
Jeg har haft mange gode venner i mit liv.
私は自分の人生で多くの良い友人に恵まれてきた.
[liv (-et, -):人生]
Henrik har vejledet mange studerende i årenes løb.
ヘンレクは長年にわたって多くの学生を指導してきた.
[løb (-et, -):流れ]
Ole har allerede spist kagen.
オーレはもう既にケーキを食べました.
[allerede:既に]
[kage (-n, -r):ケーキ]
また,more sig <楽しむ> などの再帰動詞は,その意味を日本語で考えると一見自動詞かと思ってしまいがちですが,デンマーク語としてはあくまでも主語の人が自分自身を楽しませる,という他動詞の構造になっているので,再帰動詞の完了の助動詞はhaveとなります.
Vi har hygget os rigtig meget.
Han har ikke forandret sig, siden han var lille.
彼は,幼いころから,変わっていない.
[forandre (-ede, -et):変える,forandre sig:変わる]
[siden:~以来]
Pia har glædet sig til at rejse til Japan.
ピーアは日本に旅行に行くのを楽しみにしてきた.
[Pia:女子名]
対象となる動詞が,自動詞で,なおかつ状態動詞である場合にも,完了の助動詞はhaveとなります.
Det har været varmt i dag.
Jeg har boet i Danmark i to år.
さらに,対象となる動詞が,自動詞で,なおかつ動作動詞である場合にも,完了の助動詞はhaveとなります.
Jeg har arbejdet i otte timer.
Jeg har spadseret i parken.
[park (-en, -er):公園]
― 完了の助動詞にværeが使われる場合 ―
これまでに確認したことからも分かるように,完了の助動詞としてværeが使われるのは,対象となる動詞が,自動詞で,なおかつ変化動詞(推移動詞)の場合だけです.
Han er blevet stor.
Gæsterne er kommet.
[gæst (-en, -er):客]
Hans far er død.
Pigen er forsvundet.
― 移動を表す動詞 ―
gåやløbeなどの移動を表す動詞は,動作を表す「動作動詞」として用いられる場合と,主語に起こった変化を表す「変化動詞」として用いられる場合があります.次の例文を見てみましょう.
Jeg har gået i to timer.
Jeg har løbet i en time.
[løbe
これら2つの例文では,gåもløbeもそれぞれ「歩く」そして「走る」という動作を表している(「動作動詞」である)ので,完了の助動詞はhaveを用います.それでは次の例文を見てみましょう.
Han er gået. 彼は行きました(もういません).
Hunden er løbet væk. 犬は逃げていきました(もういません).
[hund (-en, -e):犬]
この2つの例文では,gåとløbeは「歩く」や「走る」などの動作を表しているのではなくて,主語である対象がある地点からある地点へと移動したことを表しているので,gåそしてløbeはここでは「変化動詞(推移動詞)」となります.したがって,完了の助動詞もhaveではなくて,væreとなります.
注意!
デンマーク語の現在完了形は,これまでの例文からも分かるように,英語と同様に「継続」・「経験」・「完了」などを表すことができます.
しかし,英語とは大きく異なる点として,デンマーク語では過去形は「その文あるいはその前の文脈の中に,過去の一時点を表す副詞的語句が示されているか,あるいは状況から過去の一時点を特定できる場合」のみに使われます.
I morges skinnede solen jo så dejligt.
今朝は陽がとても気持ちよく照っていましたよね.
Vi legede tit sammen, da vi var børn.
私たちが子どもだった頃,私たちはよく一緒に遊びました.
スキット内でも使われている上記の2文は,それぞれ文中にi morges <今朝> や da vi var børn <私たちが子どもだった頃> などのように「過去の一時点を表す」副詞的語句があるので,skinnedeやlegedeのように動詞の過去形が使われています.
したがって,上記の2例のように「過去の一時点」が副詞的語句や文脈などで明らかな場合は,デンマーク語では「過去形」が使われますが,「過去の一時点」が副詞的語句や文脈などによって示されない場合には,過去を表す場合であっても,デンマーク語では「現在完了形」が使われます.そのため,「現在完了形」の使用は英語に比べて非常に多いと言えるでしょう.