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●文法解説

 

ここでは,第5課で使われた表現に関連のある文法事項について説明します.

 

1. 形容詞未知形変化の用法(補語の場合)

 

 第3課そして第4課では,形容詞を付加的に使う場合の性(共性・中性),数(単数・複数)そして未知/既知による変化について学びました.

 

 

未知形

既知形

単数

複数

単数

複数

共性 (en)

en ung pige

unge piger

den unge pige

de unge piger

中性 (et)

et stort hus

store huse

det store hus

de store huse


 

 このように形容詞が名詞よりも前に現れて,名詞を修飾する場合には,名詞の性,数そして未知/既知によって形容詞が語形変化します.

 しかし,形容詞は名詞よりも後に現れることもあります.例えば,A = B(AはBです.)のような言い方をする際,Aの位置に主語となる名詞や代名詞,そしてBの位置に形容詞がくる場合には,その形容詞は補語と呼ばれます.(主語に対する補語の場合は,「主格補語」と呼ばれます.)この場合,Bの位置にある形容詞は,Aの位置にある名詞や代名詞によって語形変化をします.

 

 会話表現で取り扱った表現をもとに,形容詞が補語の位置にある場合の語形変化について見ていきましょう.

 この場合は,gulerodenが共性名詞の単数形なので,形容詞råもそれに合わせて語尾が何も付かない共性の形態にします.

 この場合は,人称代名詞detが中性形なので,形容詞rigtigもそれに合わせてrigtigtという中性形にします.

 それでは,主語が複数の場合にはどのように変化するでしょうか?

 主語が複数の場合には,形容詞storに複数形の語尾 -e を付けます.

 

 上記の例から分かるように,形容詞がA = B のBの位置にくる場合は,形容詞は必ず未知形の語形変化をします.

 つまり,Aの位置にくる名詞が既知形であっても,Bの位置にくる形容詞はその名詞に合わせた未知形変化をするということです.

 

×Huset er store.

○Huset er stort.

 

― 主語が人称代名詞の場合を使って復習しましょう ―

 

 

単数

複数

1人称

Jeg er høj.

Vi er høje.

2人称

親称

Du er høj.

I er høje.

敬称

De er høj.

De er høje.

3人称

Han er høj.

De er høje.

Hun er høj.

Den er høj.

Det er højt.


 

さらにA = Bという関係は,上で見たような

 

Guleroden er rå.

Det er rigtigt.

De er store.

 

のように,

 

A er B.

 

という文にだけ現れるものではありません.

 

 スキット内の次の例文を見てみましょう.

 

Spiser man kinakål rå?  白菜を生で食べますか?

I Japan spiser man det ikke råt.  日本では,それを生では食べません.

 

 上記の例文の,<白菜を生で食べる>,<それを生で食べる> という日本語訳からも分かるように,ここにA = B という関係が存在しています.つまり,白菜=生,それ=生という関係です.ただし,上記の例文の場合,A = B という関係のAが文中では,主語ではなく,動詞の目的語(食べるの目的語)となっています.(このような場合のBを「目的格補語」と呼びます.)

 

 このような場合にも,Bの位置にくる形容詞をAの位置にある目的語に合わせて語形変化をさせます.

 この場合は,kinakålが共性名詞の単数形なので,それに合わせて形容詞råは語尾が何も付かない未知形・単数・共性の形態をしています.

 また,この場合には,spiserの目的語detが中性形なので,形容詞råもそれに合わせてråtという中性形にします.





2. 場所を表す副詞

 第4課では,方向を表す副詞について学びました.この課ではさらに同じ種類の副詞が,場所を表す場合について,確認しましょう.

 

方向を表す
副詞

意味

場所を表す
副詞

意味

hen

(少し離れた)そこへ

henne

(少し離れた)そこで

ind

中へ

inde

中で

ud

外へ

ude

外で

ned

下へ

nede

下で

op

上へ

oppe

上で

over

向こう側へ

ovre

向こう側で

frem

前へ

fremme

前で

hjem

家へ

hjemme

家で


 

Kirken ligger henne ved stationen.  教会は駅のそばにあります.

[station (-en, -er): 駅]

 

De sidder inde i stuen.  彼らは居間に座っています.

[stue (-en, -er): 居間,リビングルーム]

 

Vi spiser ude i aften.  私たちは今晩外で食事をします.

[i aften: 今晩]

 

Hun er nede i kælderen.  彼女は地下室にいます.

[kælder (-en, -e / kældre):地下室]

 

Han er oppe på loftet.  彼は屋根裏にいます.

 

De holder ferie ovre i USA.  彼らは[海の向こうの]アメリカで休暇を過ごします.

[holde ferie:休暇を過ごす]

 

Hvornår er vi fremme?  私たちはいつ到着しますか?

 

Jeg arbejder hjemme i dag.  私は今日家で仕事をします.

 

➢ 場所を表す副詞は,原則として,方向を表す副詞に語尾 -eを付加することで作ることができます.

➢ 方向を表す副詞と場所を表す副詞の発音の違いに注意しましょう.

 




3 . 再帰動詞

  スキット内の次の表現に着目してください.

 

Lad os skynde os hjem at lave mad! 急いで家に帰って食事を作りましょう!

 

 skynde osは <急ぐ> という意味の再帰動詞です. 再帰動詞は形式的には〔動詞+目的語〕になっていて,この目的語が文の主語と同一人物の場合に使われます.

 つまり,Jeg skynder mig.という文の場合には,「私は私を急がせる」→「私は急ぐ」という意味になります.

 この目的語は再帰代名詞と呼ばれ,3人称主語 (han/hun/den/det/de) の場合は,該当する再帰代名詞はsigという特殊な形をしていますが,1人称,2人称では人称代名詞の目的格 (mig, dig, os, jer, Dem) と同じ形をしています.

 ここで,skynde sig <急ぐ> を例に,この再帰動詞をすべての人称で確認しましょう.

 

 

単数

複数

1人称

Jeg skynder mig.
<私は急ぐ>

Vi skynder os.
<私たちは急ぐ>

2人称

親称

Du skynder dig.
<あなたは急ぐ>

I skynder jer.
<あなたたちは急ぐ>

敬称

De skynder Dem.
<あなたはお急ぎになる>

De skynder Dem.
<あなた方はお急ぎになる>

3人称

Han skynder sig.
<彼は急ぐ>

De skynder sig.
<彼ら/彼女ら/それらは急ぐ>

Hun skynder sig.
<彼女は急ぐ>

Den skynder sig.
<それは急ぐ>

Det skynder sig.
<それは急ぐ>


 

 ここで,skynde sig以外の再帰動詞の例も確認しましょう.尚,再帰動詞は辞書では[該当動詞+sig]という形で載せられています.

 

・hygge sig :楽しむ De hygger sig. <彼らは楽しむ/楽しんでいる>

・more sig :楽しむ Jeg morer mig. <私は楽しむ/楽しんでいる>

・kede sig :退屈する Du keder dig. <君は退屈する/している>

 




4 . 数詞2:「数を覚えましょう!(20から900まで)」

 デンマーク語では,20以上の数を言う場合に,例えば21 (enogtyve) というように「1と20」というような言い方をします.日本語や英語とは異なるので,注意して覚えるようにしましょう.

 

21 enogtyve

22 toogtyve

23 treogtyve

24 fireogtyve

25 femogtyve

26 seksogtyve

27 syvogtyve

28 otteogtyve

29 niogtyve


 

次に,30から90までの言い方を確認しましょう.

 

30 tredive

40 fyrre

50 halvtreds 

60 tres

70 halvfjerds

80 firs

90 halvfems

 

 


 

 次に,100~900までの言い方を確認しましょう.

 

100 hundrede

200 to hundrede

300 tre hundrede

400 fire hundrede

500 fem hundrede

600 seks hundrede

700 syv hundrede

800 otte hundrede

900 ni hundrede


 

 最後にいろいろなタイプの数字の言い方を確認しましょう.

 

33 treogtredive  54 fireoghalvtreds  68 otteogtres  79 nioghalvfjerds
125 hundrede femogtyve  216 to hundrede (og) seksten  
999 ni hundrede (og) nioghalvfems

 




5 . 語順2

 第2課では,平叙文,疑問文の語順について確認しましたが,ここではさらにデンマーク語の語順について学ぶことにしましょう.

 

―文の構成要素とは?―

 まず最初に,デンマーク語の語順について理解するために,ここで文の構成要素について説明します.

 文の構成要素は,それぞれの要素が文中でどのような働きをするかによって区別されます.いくつかの文を参考にしながら,文の構成要素について確認しましょう.

 

<私は歌う>

[synger: 動詞synge <歌う> の現在形]

 

 上の文は,英語文法で言うところのS+Vの文型をしています.つまり,主語と述語動詞で構成されています.次に,

 

<私は日本人です>

 

 この文は,S+V+Cの文型をしています.つまり,主語+述語動詞+補語で構成されています.そして,

 

<私はりんごを1つ持っている>

 

 この文は,S+V+Oの文型をしています.つまり,主語+述語動詞+目的語で構成されています.

 

 また,文の構成要素として,次の文に見られるように,副詞的語句というものもあります.

 

<それは美味しいです>

 

<彼はフランス出身です>

 

 副詞的語句は,godtのように一語である場合もあれば,fra Frankrigのように[前置詞+名詞]という場合もあります.

 

― 文の構成要素と語順の関係 ―

 デンマーク語では,上で見たような文の構成要素の種類によって,文中で置かれる場所というものが異なります.

 ここでは,デンマーク語における完結文の語順に焦点を絞って見ていくことにしましょう.

 

 完結文とは,その文が単独で存在することができ,別の文に従属しない文のことです.例えば,上に挙げた例文は全て完結文です.それでは,次の例文をまた構成要素に分けてみましょう.

 

<私たちはデンマークではフリカデレをよく食べます>

[ofte: 頻繁に]

 

 まず,文の初めの要素として,「主語」が置かれています.この文の初めの要素が置かれる場所のことを「前域(文頭域)」と呼びます.さらに,「述語動詞」そして「副詞的語句 (ofte) 」が置かれている場所を「中域」と呼び,最後に「目的語」そして「副詞的語句 (i Danmark)」が置かれている場所を「後域」と呼びます.

 表に示すと以下のようになります.

 

 

前域

中域

後域

要素

主語

述語動詞,副詞的語句

目的語,副詞的語句

語(句)

Vi

spiser ofte

frikadeller i Danmark.


 

➢ 前域に置くことができる構成要素は1つだけです.

➢ 中域は必ず述語動詞が先頭にきます.

 →述語動詞は,つまり,文全体の中で必ず2番目の要素となります.

 →中域に置かれる述語動詞は,定形動詞です.定形動詞とは,時制を持った動詞のことで,デンマーク語では動詞の現在形,過去形,命令形を指します.

➢ 例えばofteのように必ず中域に置かれる副詞的語句があります.このような副詞的語句を特別に「中域副詞」と呼びます.

 

 前域に「主語」が置かれることもありますが,デンマーク語では,原則として「定形動詞」及び「中域副詞」以外の要素であれば,「主語」以外の要素であっても,前域に置くことができます.それは,特に「主語」以外の要素を話題化させたいときに起こります.

 

 

前域

中域

後域

要素

副詞的語句

定形動詞

主語

中域副詞

目的語

語(句)

I Danmark

spiser

vi

ofte

frikadeller.

デンマークでは,私たちはフリカデレをよく食べます.


 

 

前域

中域

後域

要素

目的語

定形動詞

主語

中域副詞

副詞的語句

語(句)

Frikadeller

spiser

vi

ofte

i Danmark.

フリカデレは,私たちはデンマークでよく食べます.


 

 このように,前域には,「副詞的語句」や「目的語」を置くこともできます.しかし,先にも述べた通り,前域には1つの構成要素しか置けないので,前域に「副詞的語句」や「目的語」が置かれている場合は,前域に「主語」を置くことはできないので,「主語」は中域に置かれます.

 

➢ 中域内の語順は,「定形動詞」・(「主語」)・(「中域副詞」)となります.

 

 これまでに習った例文を使って,平叙文の完結文の語順を確認しましょう.

 

前域

中域

後域

定形動詞

主語

中域副詞

その他の要素

Jeg

hedder

 

 

Liva Jensen.

Det

er

 

 

en ostehøvl.

Den

er

 

selvfølgelig

til ost.

Jeg

har

 

 

en lommeregner i tasken.

Der

er

 

 

et bord og tre stole.

I nærheden

er

der

også

en kirke.

Først

skal

man

 

til Kongens Nytorv.

Vi

skal

 

først

forbi Tivoli hen til Strøget.

går

vi

 

lidt ad Store Strandstræde.

er

vi

 

i Amaliegade.

Det

spiser

man

 

meget i Danmark.

Det

smager

 

ellers

godt.

Det

lyder

 

 

lækkert.

Det

smager

 

ikke

godt.


 

それでは,次のような例文内の語順についても考えてみましょう.

 

Jeg vil godt hjælpe dig med at flytte. 私はあなたが引っ越すのを手伝います.

Jeg vil gerne se Den lille Havfrue. 私は人魚姫(の像)が見たいです.

Vi skal lave aftensmad hjemme hos mig. 私たちは私の家で夕食を作ります.

Jeg kan godt lide frikadeller. 私はフリカデレが好きです.

 

 上記の例文では,それぞれに動詞にあたる要素が2つあります.

 赤色表示のvil, skal, kanはそれぞれ現在形をしているので,これらが定形動詞です.そして先に確認したように,定形動詞は中域の先頭に置かれます.

 次に,緑色表示のhjælpe, se, lave, lideはそれぞれ不定詞形をしています.不定詞形は,定形動詞ではなく,不定形動詞と呼ばれます.不定形動詞は,中域には置かれず,後域の先頭に置かれます.

 まとめると以下のようになります.

 

 vil, skal, kan → 現在形 → 定形動詞 → 中域の先頭=文全体の2番目の要素

 hjælpe, se, lave, lide → 不定詞形 → 不定形動詞 → 後域の先頭

 

前域

中域

後域

定形動詞

主語

中域副詞

不定形動詞

その他の要素

Jeg

vil

 

godt

hjælpe

dig med at flytte.

Jeg

vil

 

gerne

se

Den lille Havfrue.

Vi

skal

 

 

lave

aftensmad hjemme hos mig.

Jeg

kan

 

godt

lide

frikadeller.


 

― 前域の前に置くことができる要素:接続詞 ―

 文を構成する要素には,接続詞というものもあります.ここでは,完結文の語順をとる接続詞について取り扱います.

 これまでに習った例文から,次の例文を見てみましょう.

 

 Der er en bred seng. Og der er også en lampe i loftet. Men der er ikke nogen tæpper på gulvet, så jeg vil selv købe et lille tæppe.

 

 最初の文,Der er en bred seng.の語順に関しては,上で見たとおりです.それに続く,Og der er også en lampe i loftet. の文頭にある og は,<そして> という意味を表す接続詞です.この og は前域の直前に置かれ,それに続く文は,完結文の語順になります.

 

接続詞

前域

中域

後域

定形動詞

主語

中域副詞

その他の要素

Og

der

er

 

også

en lampe i loftet.


 

 また次に続く,Men der er ikke nogen tæpper på gulvetの文頭にある men は,<しかし> という意味を表す接続詞です.この men も前域の直前に置かれ,それに続く文は,完結文の語順になります.

 

接続詞

前域

中域

後域

定形動詞

主語

中域副詞

その他の要素

Men

der

er

 

ikke

nogen tæpper på gulvet


 

 最後に,残りの文,så jeg vil selv købe et lille tæppe の文頭にある så は <それで> という意味を表す接続詞です.この så も前域の直前に置かれ,それに続く文は,完結文の語順になります.

 

接続詞

前域

中域

後域

定形動詞

主語

中域副詞

不定形動詞

その他の要素

jeg

vil

 

selv

købe

et lille tæppe