スウェーデンは、中立主義外交や社会福祉制度、男女共同参画などが進んだ国として知られています。また、IT産業など、先進的な工業技術をもつ一方で、環境問題にも意欲的に取り組み、美しい自然に溢れた国としても知られています。一度でもスウェーデンに足を運んでみれば、そうしたイメージが現実のものであることを知ることができるでしょう。
そのように今でこそ魅力的なイメージで語られるスウェーデンですが、実のところ、かつてはヨーロッパの北の辺境に位置する厳しい自然環境にあって、とても貧しい国でした。またバルト海に面する国々との間での戦争に継ぐ戦争を戦い抜いた軍事国家としての歴史も経験しました。
現在のスウェーデンにおける中立主義や社会福祉といった制度は、そうした厳しく貧しい環境のなかで、たくましく生き抜いてきたスウェーデンの人々の経験に基づいた知恵の結集と言えるでしょう。それゆえに、現在のスウェーデンで実現されている社会を理解しようとするならば、北の大地に生きる人々が経験した歴史や文化の実態を知らねばなりません。
スウェーデン語が話されている文化圏を学ぶ魅力は、我が国の将来を設計していくための参照例であるということだけにとどまりません。人間が自らの置かれた環境のなかで、経験に基づいた知恵をいかにして導き出し、生き抜いてきたのか、そのダイナミックな道程を知ることができる点にこそ、最大の魅力があります。
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