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第9課 レストランで

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●文法解説

 

ここでは,第9課で使われた表現に関連のある文法事項について説明します.

 

1. 関係節

 関係節とは,関係詞(関係代名詞と関係副詞)によって導かれる従位節のことです.そして,関係詞とはそれによって導かれる節を,他の文中の語句に関連づける機能を持っています.さらに,関係節が関わる語句を先行詞と呼びます.

 まず,次の文を見てください.ビーフステーキを注文しようとしたジュンコが,リーヴァに値段のことを指摘され,次のように言っています.

 

så må jeg finde på noget andet, der er billigere

それではもっと値段の安い何か別のものにしないと.

 



 

 例文では,noget andet <何か別のもの> が先行詞となっており,関係代名詞derで導かれる関係節der er billigere <もっと値段の安い> はそのnoget andetに係るものです.ここでは,noget andet, der er billigereで <もっと値段の安い何か別のもの> という意味になります.

 

 

 関係詞には,関係代名詞と関係副詞があります.以下で,それぞれについて見ていきましょう.

 

― 関係代名詞 ―

 ここではデンマーク語の関係代名詞のうち,2つの関係代名詞derとsomについて紹介します.derは関係節中で,主語にしかなれない関係代名詞です.また先行詞としては,人も物もどちらも可能です.(以下,先行詞の部分を赤色太字で表示しています.)

 

 

Jeg kender den mand, der går nede på gaden.

私は下の通りを歩いている男の人を知っています.

 

また関係代名詞somは関係節中で,主語にも目的語にもなることができます.また,先行詞として人も物もどちらも可能です.

 

Den bog, som hun læste i nat, var meget kedelig.

彼女が昨夜読んだ本は,とてもつまらなかったです.

[kedelig (-t, -e):つまらない]

Den familie, som bor lige over for os, er på ferie.

私たちの真向かいに住んでいる家族は,休暇に出かけています.

Jeg har ikke hørt om den film, som du snakker om.

私はあなたが話をしている映画について聞いたことがありません.

[snakke (-de, -t):話す]

 

 

― 関係副詞 ―

 ここでは,デンマーク語の関係副詞hvorについて紹介します.第6課のスキットでは,次のような例文が使われていました.

 

Det sner ret meget i det område, hvor jeg kommer fra.

私の出身地域では,雪がかなりたくさん降ります.

 

関係副詞hvorは,例えば先行詞が「場所」を指す名詞句である場合に使われます.(尚,der <そこ> やher <ここ> のような副詞句が先行詞となる場合もあります.)上の例文では,det område <その地域> が先行詞となっています.そしてhvorは前置詞fraの目的語となって,関係節中で副詞句 <~から> として機能しています.

また,この関係副詞hvorは,先行詞が「時」を表す名詞句である場合にも使われます.(尚,nu <今> のような副詞句が先行詞となる場合もあります.)

 

Der var mange tyfoner i det år, hvor vi kom til Japan.

私たちが日本へやってきた年には,たくさんの台風がきました.

 

 

 

― 2つのタイプの関係節 ―

 これまでの例文では,先行詞は全て〔指示代名詞den / det / de + 名詞〕となっていました.このタイプの先行詞は,原則として,制限的関係節の前の先行詞が“定”の場合(英語だと〔the + 名詞〕になる場合)に用いられます.

 制限的関係節とは,その関係節を省いてしまうと文が成立しない,つまり文の意味を理解するときに欠かせない情報を含んだ関係節のことです.

 例えば例文中のJeg kender den mand, der går nede på gaden. をder以下の関係節を省いて,Jeg kender den mand. <私はその男の人を知っています.> とした場合に,目の前にいる男の人を指差してでも言わないかぎり,どの男の人のことを指しているのかは判断できません.

 したがって,der以下の関係節は省略することができない,文の意味を理解するにあたって欠かせない情報を含んだ関係節,すなわち制限的関係節と考えられます.

 これとは反対に,省略することのできる関係節も存在します.次の例文を見てください.

 Min mormor, der bor alene, har et sommerhus på Samsø.

 私の母方の祖母は,1人暮らしをしているのですが,サムスーに別荘を持っています.

[alene:1人で]

[sommerhus (-et, -e):別荘]

 上の例文の先行詞は,min mormor <私の母方の祖母> です.「私の母方の祖母」は,どんな説明を加えなくとも,誰のことを指すのかは明らかです.したがって,それに続くder以下の関係節は,先行詞に対する付加的な情報を伝えるものと解釈され,このような関係節を非制限的関係節と呼びます.

 

 

 

― 関係代名詞somの省略について ―

 また関係代名詞somは,関係節中で目的語となっていて,さらにその関係節が制限的関係節である場合に,省略されることが多いです.スキット内の次の例文を見てください.

 

Hvad med den restaurant, Liva arbejder på?

リーヴァが働いているレストランはどうだろう?

 

 somを省略しなければ,次のようになります.

 

Hvad med den restaurant, som Liva arbejder på?

 

 しかし,somが関係節中で前置詞påの目的語となっていること,そしてsomで導かれる関係節が制限的関係節であることから,関係代名詞somは省略されて,スキット内で実際に使われている文となります.

 




2. -skで終わる形容詞

 第1課では,「国名」と「~人」という言い方(例:デンマーク:Danmark,デンマーク人:dansker)について学びました.ここでは,例えば「デンマークの」という意味を表す形容詞について学びましょう.

 


~人~の,~風の,
~的な,~語の
Danmarkデンマークen danskerdansk
Japan日本en japanerjapansk
Frankrigフランスen franskmandfransk
Englandイギリスen englænderengelsk
Sverigeスウェーデンen svenskersvensk
Norgeノルウェーen nordmandnorsk
Finlandフィンランドen finnefinsk
Islandアイスランドen islændingislandsk
Tysklandドイツen tyskertysk
Hollandオランダen hollænderhollandsk
Spanienスペインen spanierspansk
Italienイタリアen italieneritaliensk
Grækenlandギリシアen grækergræsk
Ruslandロシアen russerrussisk
Egypten/Ægyptenエジプトen egypter/ægypter egyptisk / ægyptisk
Indienインドen inder indisk
Kina中国en kineser kinesisk

 

➢ この-skで終わる形容詞は,例えば「~語」という意味の名詞として用いることもできます.スキット中にもあるように,på engelskで <英語で> という意味になります.

 

Hvad kalder man det på dansk? それをデンマーク語で何と呼びますか?

[kalde (kaldte, kaldt):呼ぶ]

Hvad hedder det på dansk? それはデンマーク語で何と言いますか?

Taler du dansk? あなたはデンマーク語を話しますか?

[tale (talte, talt):話す]

Junko taler dansk. ジュンコはデンマーク語を話します.

Janus taler japansk. イェーヌスは日本語を話します.

[Janus:男子名]

 

➢ -skで終わる形容詞には,原則として,次のように -t形の変化形が存在しません.

 

en dansk film デンマーク映画

et dansk møbel デンマーク家具(形容詞=未知形単数中性形)

de danske møbler デンマーク家具(形容詞=既知形)

 




3. 語順5

 これまでの課では,完結文の語順について学びました.この課では,従位節内の語順について学習しましょう.従位節は第8課でも述べたとおり,単独では完全な文としては成立しないので,従位節内は完結文の語順は適用されません.従位節には,従位節の語順というものがあります.

 

 それでは従位節を含んだ例を使って,従位節での文構成要素がどのような順番になっているのかを確認してみましょう.以下の文では,jeg tror <私は~と思う> の部分が主節で,at以下が従位節です.ここでは,at以下に注目します.

 



 

 まず,従位節内の初めの要素として,「従位接続詞 (at)」が置かれています.この従位節の初めの要素が置かれる場所のことを「従位接続語域」と呼びます.(従位節は文中の一要素なので,前域(文頭域)が存在しません.)それに続いて,「主語 (jeg)」,「副詞的語句 (gerne) 」,「定形動詞 (vil)」が置かれている場所を「中域」と呼び,最後に「不定形動詞 (bestille)」そして「目的語 (en bøf)」が置かれている場所を「後域」と呼びます.

 表に示すと以下のようになります.

 


従位接続語域中域後域
主語中域副詞定形動詞不定形動詞その他の要素
atjeggernevilbestilleen bøf.

 

➢ 従位接続語域には,従位接続詞の他に,関係詞や疑問詞などが置かれます.

➢ 主語は,必ず従位接続語域の直後に置かれます.

➢ 中域副詞の位置は,完結文の語順とは異なり,主語と定形動詞の間です.

 

 これまでに習った例文のうち,従位節を含むものをいくつか以下に挙げます.(従位節は赤字部分です.)その下の表で,例文中の従位節の語順を確認しましょう.

 

Det sner ret meget i det område, hvor jeg kommer fra.

Vi legede tit sammen, da vi var børn.

Hvis du har tid, kan vi tage derud.

Hvor meget koster det, når vi kører fra Østerport?

Det koster 26 kr., fordi der er fire zoner til Klampenborg.

Jeg tror, det tager ca. ti minutter.

Hvad med den restaurant, Liva arbejder på?

Engelsk bøf er en stegt skive oksekød med brunede løg, altså ”steak and onions” på engelsk, mens dansk bøf er en hakkebøf med brunede løg.

Så må jeg finde på noget andet, der er billigere.

 


従位接続語域中域後域
主語中域副詞定形動詞不定形動詞その他の要素
hvorjegkommerfra
davivarbørn
hvisduhartid
nårvikørerfra Østerport?
fordidererfire zoner til Klampenborg
(at)dettagerca. ti minutter
(som)Livaarbejder
mensdansk bøferen hakkebøf med brunede løg
―――dererbilligere

 

➢ 従位接続詞atや関係代名詞somは,省略される場合があります.

➢ 関係代名詞somは,従位接続語域にあると解釈されるのに対して,関係代名詞derは中域の主語の位置にあると解釈されます.

 

 従位節内の語順は,完結文とは異なる点に留意して,しっかり覚えるようにしましょう.

 

注意!

 第5課の文法解説で触れたように,接続詞の中には,完結文の前域の直前に置くことのできるものもありました.

 


接続詞前域中域後域
定形動詞主語中域副詞不定形動詞その他の要素
ogder erogsåen lampe i loftet
mender erikkenogen tæpper på gulvet
jeg vilselvkøbeet lille tæppe
fori juli og augusterdertyfoner

 

 このように,完結文の語順をとる節を導く接続詞のうち,og <そして> や men <しかし> などは,等位接続詞と呼ばれます.また「理由」を表す for <なぜなら,というのも> やså <それで,なので> は同位接続詞と呼ばれます.

 ogやmenなどの等位接続詞,そしてforやsåという同位接続詞が導く節は,同じ完結文の語順をとるにもかかわらず,異なる接続詞として区別されています.それは,両者には次のような違いが存在するからです.

 

 まず,等位接続詞を使った例文を見てください.

 

 Jeg er sulten, og jeg er tørstig. 私はお腹が空いていて,そして喉が渇いています.

 

この例文では,① jeg er sulten と ② jeg er tørstigという文が等位接続詞ogによって結びつけられたものです.等位接続詞の特徴は,①と②の文を原則として入れ替えることが可能だということです.

 

 Jeg er tørstig, og jeg er sulten. 私は喉が渇いていて,そしてお腹が空いています.

 

 等位接続詞menの場合も同じです.

 

 Jeg er ikke sulten, men jeg er tørstig.

私はお腹は空いていませんが,喉が渇いています.

 Jeg er tørstig, men jeg er ikke sulten.

私は喉が渇いていますが,お腹は空いていません.

 

次に同位接続詞såを使った例文を見てみましょう.

 

Jeg er sulten, så jeg vil gerne have noget at spise.

私はお腹が空いています,なので何か食べるものが欲しいです.

 

 等位接続詞の場合と同様に,文を入れ替えるとどうなるでしょうか?

 

×Jeg vil gerne have noget at spise, så jeg er sulten.

?私は何か食べるものが欲しいです,なのでお腹が空いています.

 

 したがって,同位接続詞の特徴は結び付けられている文を入れ替えることができないことにあります.

 

 もう1つの同位接続詞forの場合も同様です.

 

 Jeg vil gerne have noget at spise, for jeg er sulten.

私は何か食べるものが欲しいです,なぜならお腹が空いているからです.

 

×Jeg er sulten, for jeg vil gerne have noget at spise.

?私はお腹が空いています,なぜなら何か食べるものが欲しいからです.