英語のthat-節を導く接続詞thatに相当する接続詞atがここでは,省略されています.これを省略しなければ,Jeg tror, at det tager ca. ti minutter. となります.
第6課では,同じように「~と思う」という意味を表すsynesについて学びました.
troとsynesは共に日本語で「思う」,英語でthinkと訳すことができますが,両者は実は同じ意味ではなく,troが <(真実のあることに関して,知らないことではあるが,そうであろうと)思う> という意味を表すのに対して,synesは <(経験に基づいて/個人的に)思う> という意味を表します.
したがって,「私は,デンマークの首都はオーゼンセというと思う」という文はtroで表現します.
○ Jeg tror, at Danmarks hovedstad hedder Odense.
× Jeg synes, at Danmarks hovedstad hedder Odense.
これは,デンマークの首都がオーゼンセという名前ではなく,コペンハーゲンであるという事実があり,調べればわかることなので,troを使うことしかできないからです.
一方,次の例文では,synesとtroが両者とも「それは良い映画だと思う」という日本語に訳されています.
Jeg så De syv samuraier i går. Jeg synes, det er en god film.
私は昨日「七人の侍」を見ました.私はそれは良い映画だと思います.
Jeg skal se De syv samuraier i aften. Jeg tror, det er en god film.
私は今晩「七人の侍」を見ます.私はそれは良い映画だと思います.
まず,synesが使われている例文では,その直前に「私は昨日「七人の侍」を見た」という記述があります.それを前提に,「私はその映画は面白いと思います」と述べていて,それは話者の「(経験に基づいた)個人的意見」なので,synesが使われています.
次に,trorが使われている例文では,その直前に「私は今晩「七人の侍」を見ます」という記述があります.実際に映画はまだ見てはいないけれども,デンマークでは「七人の侍」が誰もが絶賛する映画だということから,「私はその映画は面白いと思います」と述べていて,この場合は話者が「その映画が面白いかどうかはまだ知らないがそうであろうと思っている」ことを表すために,trorが使われています.