会話表現では,動詞の不定詞形・命令形が使われている文について確認しました.
動詞の不定詞形とは,基本的に辞書の見出し語の形のことだと考えてください.この不定詞形は,デンマーク語では,2つの方法で使われます.例えば,スキット内の文にあるようにatが直前に付けられたタイプの不定詞(緑色表示),
Jeg vil godt hjælpe dig med at flytte.
そして,vilと結び付く場合に使われているatの付かないタイプの不定詞(赤色表示)があります.
上の例文からも分かるように,不定詞形は基本的に -e という形をしています.現在形は,第1課で確認したように,この不定詞形に,-r という語尾を付けます.これに対して,命令形は基本的に,この不定詞形から -e を取ります.
ここで,動詞købeを使って,命令形・不定詞形・現在形の確認をしましょう.
それではここで,この課で習った動詞,またこれまでの課で習った動詞の不定詞形そして命令形について確認しましょう.
―第4課で習った動詞―
― 規則的な変化をする動詞 ―
― 不規則な変化をする動詞 ―
注意!
➢ 不定詞形(見出し語形)が,gå のように -e以外の母音で終わっている場合は,現在形には -r だけを付け加え,また命令形と不定詞形は同じ形をしています.
➢ また,不定詞形(見出し語形)が,seのように -e で終わる1音節語である場合も同様で,現在形には -r だけを付け加え,命令形と不定詞形は同じ形をしています.
―これまでの課でならった動詞―
― 規則的な変化をする動詞 ―
― 不規則な変化をする動詞 ―
注意!
➢ gøre, have は不定詞形(見出し語形)が,-e で終わっていますが,現在形と命令形がその不定詞形から-eを省いた形となっています.また,væreは現在形が全く異なる形をしています.これらは不規則に変化する動詞ですが,非常によく使われる動詞でもありますので,変化形を覚えてしまいましょう..
会話表現でも確認したように,det der store springvandで <あそこの大きな噴水> という意味となります.
指示代名詞とは,「これ,あれ,それ」という意味を表すものです.単独で使用することもできますが,名詞の前に置いて,「この~,あの~,その~」というように使われます.また,上の例にあるように,指示代名詞が名詞の前にある場合は,その名詞は何も付かない形(ゼロ形)をしています.
デンマーク語では,原則として下の表のように,「これ」を意味する場合と「あれ・それ」を意味する場合とで異なる指示代名詞を使用します.
また,表からも分かるように,指示代名詞はそれが指し示す名詞の性・数によって異なった形態をしています.さらに,指示代名詞には常に強勢が置かれます.
さらに,会話表現で少し触れましたが,これらの指示代名詞は,特に話し言葉では,話し手から離れた場所を表す副詞derや話し手に近い場所を表す副詞herを伴って使われます.
注意!
上の表には,disse her biler という言い方は含まれていませんが,文法的に間違った表現というわけではありません.しかしながら実際に使用されることは少ないようです.
第3課では,形容詞の未知形変化について学びました.この課では,形容詞の既知形変化について学びましょう.
<あの大きな噴水> という意味を表すdet der store springvand では,形容詞storに -e という語尾が付けられています.これは,第3課で確認した未知形・複数のときに付く-e とはまた違う機能を持っています.
まずは,det der store springvandから,形容詞を省いた形を見てみましょう.
det der springvand
det der は,上でも確認した通り,「あの」という意味です.「あの噴水」,つまりここでは,どの噴水のことを指しているかが分かっている(既知)ということです.
したがって,「あの大きな噴水」と言う場合は,「大きな」を表す形容詞storも既知形にする必要があります.
形容詞の既知形は,対象となる名詞の性・数に関係なく,どの場合でも -e を付加した形です.
ここで,形容詞の既知形変化について,stor <大きい> を使って確認しましょう.
― 形容詞の既知形変化 ―
―形容詞+名詞の既知形?―
第2課では,名詞の未知形,既知形について学びました.
en blomst |
- |
blomsten |
▼ |
|
▼ |
名詞の未知形 |
|
名詞の既知形 |
名詞の未知形,既知形それぞれに「赤い」という形容詞を付けるとどのようになるでしょうか?
未知形は,第3課で確認したように,不定冠詞と名詞の間にrød<赤い>という形容詞を入れて,
en rød blomst
となります.
それでは,既知形blomstenに形容詞を付けるとどうなるでしょうか?名詞の既知形の前に,ただrød<赤い>を置いて,
× rød blomsten
とすると,これは正しいデンマーク語ではありません.また,上で習ったように既知形の語尾-eを付けて,
× røde blomsten
これも正しくありません.正解は,次のようになります.
○ den røde blomst
blomstは共性名詞なので,既知形語尾 -enはその姿を変えてdenとなって,名詞の前に置かれます.そしてそのdenとblomstの間に形容詞 rød が置かれ,その形容詞は既知形語尾 -e が付けられます (røde) .
このように,既知形の名詞に形容詞が付く場合には,既知形語尾はその姿を変えて,名詞の前に置かれます.その際には,名詞が単数共性であればden, 単数中性であればdet, そして複数であればdeというように,既知形語尾はその姿を変えます.
この既知形語尾が姿を変えたden, det, deは,形容詞の前にのみ現れる「定冠詞」と呼ばれるもので,指示代名詞とは異なるものです.また,指示代名詞とは異なり,強勢が置かれることはありません.
ちなみに,スキット内にあるDen lille Havfrueのdenはこの定冠詞です.
―固有名詞の前でも既知形変化―
形容詞を既知形変化させる必要があるのは,det der store springvandのように指示代名詞が名詞の前に置かれている場合や,定冠詞den, det, deの後だけではありません.
例えば,固有名詞を修飾するときにも,形容詞は既知形変化をします.
例: Store Strandstræde <ストーアストランストレーゼ>
―確認!―
それでは,第3課で未知形変化について学んだ形容詞の既知形変化について,確認しましょう.
― 形容詞の既知形変化 ―
注意!
形容詞lilleは,第3課でも触れたように,例外です.