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第4課 あそこへはどうやって行きますか?

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●文法解説

 

ここでは,第4課で使われた表現に関連のある文法事項について説明します.

 

1. 方向を表す副詞

 

  会話表現で確認したように,「予定」を表すskalが方向を表す副詞(または副詞句)と組み合わさると,<…へ行く> という意味になります.この場合,<行く> という意味を表す動詞は省略されます.

 ここで,スキットで使われていた方向を表す副詞,またそれ以外の主な方向を表す副詞を覚えましょう.

 

方向を表わす副詞

意味

hen

(少し離れた)そこへ

ind

中へ

ud

外へ

ned

下へ

op

上へ

over

向こうへ

frem

前へ

hjem

家へ


 

Han går hen til vinduet. 彼は窓のところへ行きます.

Hun går ind i huset. 彼女は家の中へ入ります.

Han går ud i haven. 彼は庭へ出ます.

Hun går ned på gaden. 彼女は通りに下ります.

Han går op på loftet. 彼は屋根裏へ上がります.

Vi går over til Nyhavn. 私たちはニュハウンに向かって[広場を]渡ります.

Vi skal lidt frem. 私たちは少し前に出ます.

Vi skal hjem. 私たちは帰宅します.

 

 発音を確認すると分かる通り,通常動詞には強勢が置かれますが,この方向を表す副詞と動詞が一緒に使われると,動詞の強勢はなくなり,方向を表す副詞に強勢が置かれます.

 





2. 動詞の不定詞形・命令形

 会話表現では,動詞の不定詞形・命令形が使われている文について確認しました.

 動詞の不定詞形とは,基本的に辞書の見出し語の形のことだと考えてください.この不定詞形は,デンマーク語では,2つの方法で使われます.例えば,スキット内の文にあるようにatが直前に付けられたタイプの不定詞(緑色表示),

 

 Jeg vil godt hjælpe dig med at flytte.

 

そして,vilと結び付く場合に使われているatの付かないタイプの不定詞(赤色表示)があります.

 

 上の例文からも分かるように,不定詞形は基本的に -e という形をしています.現在形は,第1課で確認したように,この不定詞形に,-r という語尾を付けます.これに対して,命令形は基本的に,この不定詞形から -e を取ります.

 

 ここで,動詞købeを使って,命令形・不定詞形・現在形の確認をしましょう.

 

 

動詞:købe <買う>

命令形 ( -! )

køb!

不定詞形

købe

現在形 (-r)

køber


 それではここで,この課で習った動詞,またこれまでの課で習った動詞の不定詞形そして命令形について確認しましょう.

 

―第4課で習った動詞―

― 規則的な変化をする動詞 ―

不定詞形

現在形

命令形

lade

lader

lad!

sidde

sidder

sid!


 

― 不規則な変化をする動詞 ―

不定詞形

現在形

命令形

går

gå!

se

ser

se!



 

注意!

➢ 不定詞形(見出し語形)が,gå のように -e以外の母音で終わっている場合は,現在形には -r だけを付け加え,また命令形と不定詞形は同じ形をしています.

➢ また,不定詞形(見出し語形)が,seのように -e で終わる1音節語である場合も同様で,現在形には -r だけを付け加え,命令形と不定詞形は同じ形をしています.

 

 

―これまでの課でならった動詞―

― 規則的な変化をする動詞 ―

不定詞形

現在形

命令形

flytte

flytter

flyt!

hedde

hedder

hed!

hjælpe

hjælper

hjælp!

komme

kommer

kom!

lyde

lyder

lyd!

sige

siger

sig!

stave

staver

stav!


 

― 不規則な変化をする動詞 ―

不定詞形

現在形

命令形

gøre

gør

gør!

have

har

hav!

være

er

vær!



 

注意!

➢ gøre, have は不定詞形(見出し語形)が,-e で終わっていますが,現在形と命令形がその不定詞形から-eを省いた形となっています.また,væreは現在形が全く異なる形をしています.これらは不規則に変化する動詞ですが,非常によく使われる動詞でもありますので,変化形を覚えてしまいましょう..

 




3 . 指示代名詞

  会話表現でも確認したように,det der store springvandで <あそこの大きな噴水> という意味となります.

 

 

 指示代名詞とは,「これ,あれ,それ」という意味を表すものです.単独で使用することもできますが,名詞の前に置いて,「この~,あの~,その~」というように使われます.また,上の例にあるように,指示代名詞が名詞の前にある場合は,その名詞は何も付かない形(ゼロ形)をしています.

 デンマーク語では,原則として下の表のように,「これ」を意味する場合と「あれ・それ」を意味する場合とで異なる指示代名詞を使用します.

単数

複数

共性

中性

あれ
それ

den

det

de

これ

denne

dette

disse


 

 

 また,表からも分かるように,指示代名詞はそれが指し示す名詞の性・数によって異なった形態をしています.さらに,指示代名詞には常に強勢が置かれます.

 

単数

複数

共性

中性

あれ
それ

den bil

<あの/その車>

det hus

<あの/その家>

de biler

<それらの車>

これ

denne bil

<この車>

dette hus

<この家>

disse biler

<これらの車>


 

 

 さらに,会話表現で少し触れましたが,これらの指示代名詞は,特に話し言葉では,話し手から離れた場所を表す副詞derや話し手に近い場所を表す副詞herを伴って使われます.

 

単数

複数

共性

中性

あれ
それ

den der bil

<あの/その車>

det der hus

<あの/その家>

de der biler

<それらの車>

これ

den her bil

denne her bil

<この車>

det her hus

dette her hus

<この家>

de her biler

<これらの車>


 

 

注意!

 上の表には,disse her biler という言い方は含まれていませんが,文法的に間違った表現というわけではありません.しかしながら実際に使用されることは少ないようです.


 




4 . 形容詞の既知形変化

  第3課では,形容詞の未知形変化について学びました.この課では,形容詞の既知形変化について学びましょう.

 <あの大きな噴水> という意味を表すdet der store springvand では,形容詞storに -e という語尾が付けられています.これは,第3課で確認した未知形・複数のときに付く-e とはまた違う機能を持っています.

 まずは,det der store springvandから,形容詞を省いた形を見てみましょう.

 

det der springvand

 

 det der は,上でも確認した通り,「あの」という意味です.「あの噴水」,つまりここでは,どの噴水のことを指しているかが分かっている(既知)ということです.

 したがって,「あの大きな噴水」と言う場合は,「大きな」を表す形容詞storも既知形にする必要があります.

 形容詞の既知形は,対象となる名詞の性・数に関係なく,どの場合でも -e を付加した形です.

 

det der store springvand

 

 ここで,形容詞の既知形変化について,stor <大きい> を使って確認しましょう.

 

― 形容詞の既知形変化 ―

名詞
単数複数
共性中性共性中性


storden store gade det store bord de store gader de store borde

 

―形容詞+名詞の既知形?―

 第2課では,名詞の未知形,既知形について学びました.

 

en blomst

-

blomsten

▼  

 

  ▼

名詞の未知形

 

名詞の既知形

 

 名詞の未知形,既知形それぞれに「赤い」という形容詞を付けるとどのようになるでしょうか?

 未知形は,第3課で確認したように,不定冠詞と名詞の間にrød<赤い>という形容詞を入れて,

 

en rød blomst

 

となります.

 それでは,既知形blomstenに形容詞を付けるとどうなるでしょうか?名詞の既知形の前に,ただrød<赤い>を置いて,

 

× rød blomsten

 

とすると,これは正しいデンマーク語ではありません.また,上で習ったように既知形の語尾-eを付けて,

 

× røde blomsten

 

これも正しくありません.正解は,次のようになります.

 

○ den røde blomst

 

 blomstは共性名詞なので,既知形語尾 -enはその姿を変えてdenとなって,名詞の前に置かれます.そしてそのdenとblomstの間に形容詞 rød が置かれ,その形容詞は既知形語尾 -e が付けられます (røde) .

 

 このように,既知形の名詞に形容詞が付く場合には,既知形語尾はその姿を変えて,名詞の前に置かれます.その際には,名詞が単数共性であればden, 単数中性であればdet, そして複数であればdeというように,既知形語尾はその姿を変えます.

 この既知形語尾が姿を変えたden, det, deは,形容詞の前にのみ現れる「定冠詞」と呼ばれるもので,指示代名詞とは異なるものです.また,指示代名詞とは異なり,強勢が置かれることはありません.

 ちなみに,スキット内にあるDen lille Havfrueのdenはこの定冠詞です.

 

―固有名詞の前でも既知形変化―

 形容詞を既知形変化させる必要があるのは,det der store springvandのように指示代名詞が名詞の前に置かれている場合や,定冠詞den, det, deの後だけではありません.

 例えば,固有名詞を修飾するときにも,形容詞は既知形変化をします.

 

 例: Store Strandstræde <ストーアストランストレーゼ>

 

―確認!―

 それでは,第3課で未知形変化について学んだ形容詞の既知形変化について,確認しましょう.

 

― 形容詞の既知形変化 ―

名詞
単数複数
共性中性共性中性


ungden unge pige det unge par de unge piger de unge par
højden høje reol det høje hus de høje reoler de høje huse
lavden lave stol det lave bord de lave stole de lave borde
bredden brede seng det brede bord de brede senge de brede borde
rødden røde bil det røde tæppe de røde biler de røde tæpper

 

注意!

形容詞lilleは,第3課でも触れたように,例外です.

 

名詞
単数複数
共性中性共性中性


lilleden lille gade det lille æble de små gader de små æbler