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第2課 これは何ですか?

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●文法解説

 

ここでは,第2課で使われた表現に関連のある文法事項について説明します.

 

1. 名詞の性と不定冠詞

 

 デンマーク語では,名詞は一般に2つの性に区別されます.共性名詞と中性名詞です.

 共性名詞の前には不定冠詞en,中性名詞の前には不定冠詞etが置かれます.不定冠詞は,初めて見聞きする,数えられる名詞の前に置かれます.また不定冠詞 en / et の付いた名詞の形態を「単数未知形」と呼びます. また,何も付いてない名詞だけの状態を「ゼロ形」と呼びます.

 

―語彙を増やしましょう!―

 ここでは,語彙をさらに増やすために,スキット内に出てくる語以外の名詞が共性名詞であるか中性名詞であるか覚えましょう.

 

共 性 名 詞

中 性 名 詞

en bil <自動車>

et bord <テーブル>

en blomst <花>

et brev <手紙>

en blyant <鉛筆>

et glas <グラス;コップ>

en bog <本>

et hus <家>

en bus <バス>

et kort <地図>

en dreng <男の子>

et træ <木>

en kop <カップ>

et vindue <窓>

en pige <女の子>

et æble <りんご>

en ske <スプーン>

et fly <飛行機>


 




2. 語順1

 これまでに平叙文(事実を述べる場合に用いる文),疑問文の両方を見てきました.ここでは,それぞれの文における語順について確認しましょう.

 

―平叙文→疑問文―

まず,肯定平叙文を疑問文にしてみましょう.

 

 

➢ 第1課でも確認しましたが,疑問文は通常主語と動詞の語順を入れ替えて作ります.

 

―肯定平叙文→否定平叙文―

次に肯定平叙文から否定平叙文を作ってみましょう.肯定平叙文を否定平叙文にするためには,否定の副詞ikkeを使いますが,ikkeの置かれる位置に注意してください.

 

 

➢ 否定の副詞ikkeが置かれる位置は,動詞と補語の間です.

 

 

➢ 否定の副詞ikkeが置かれる位置は,動詞と目的語の間です.

 

―否定平叙文→否定疑問文―

それでは,否定平叙文から否定疑問文を作ってみましょう.

 

 

➢ 否定平叙文から否定疑問文を作る場合でも,主語と動詞の位置を入れ替えるだけです.

 

―平叙文(主語が文頭)→平叙文(主語以外の要素が文頭)―

 デンマーク語では,平叙文を主語以外の要素で始めることもできます.まずは,主語から始まる肯定平叙文を,目的語から始まる肯定平叙文に変えてみましょう.

 

 

➢ 主語と目的語の位置が交代しますが,動詞は必ず2番目の要素となっていることに注意してください.

 

否定平叙文の場合はどうなるでしょうか?

 

 

➢ 少しややこしくなってきましたが,まず,肯定平叙文の場合と同様に,主語と目的語の位置を交代させます.そして動詞は必ず2番目に置きます.そして否定の副詞ikkeの位置は,主語の直後であることに注意してください.

 




3 . 名詞の既知形

―既知形とは?―

  既知形というのは,すでに見聞きするなどして分かっているものや,あるいは会話の場面に登場しているものを指して言うときなどに使われる形です.

 

 次の例文を見てみましょう.

 

[tyk:太い;厚い]

 

 ある名詞が会話において初めて出てくる場合,上で見た「未知形」が使われます.そしてその名詞について,再び言及するときには,「既知形」を使います.

 

Jeg har en lommeregner i tasken. 私はバッグの中に計算機を持っています

 

 これはスキット内で使われている文です.スキット内では,話し手であるジュンコにとっても,聞き手であるリーヴァにとっても,tasken <(その)バッグ> が,ジュンコが身に着けているバッグのことを指しているのは明らかです.このような場合にも,「既知形」を使います.

 

―単数既知形の作り方―

 名詞に不定冠詞en / et が付いた形,単数未知形については,上で学びました.ここでは,この単数未知形を単数既知形に変えてみましょう.

 

単数未知形

 

単数既知形

 

 不定冠詞のenとetが名詞の後ろにくっついた感じに見えますが,不定冠詞en / etと既知形語尾の –en / -etは発音が異なります.注意してください.

 

 それでは,上で学んだ名詞の単数既知形を見てみましょう.

 

 

共 性 名 詞

単数未知形

単数既知形

en bil <自動車>

bilen

en blomst <花>

blomsten

en blyant <鉛筆>

blyanten

en bog <本>

bogen

en bus <バス>

bussen 注意!

en dreng <男の子>

drengen

en kop <カップ>

koppen 注意!

en pige <女の子>

pigen 注意!

en ske <スプーン>

skeen 注意!


 

 

中 性 名 詞

単数未知形

単数既知形

et bord <テーブル>

bordet

et brev <手紙>

brevet

et glas <グラス;コップ>

glasset 注意!

et hus <家>

huset

et kort <地図>

kortet

et træ <木>

træet

et vindue <窓>

vinduet 注意!

et æble <りんご>

æblet 注意!

et fly <飛行機>

flyet


 

 

注意!

―-eで終わる名詞―

 2音節以上の語で,-eで終わる名詞の場合,-n / -t だけを付け加えて単数既知形を作ります.

 

en pige

pigen

et æble

æblet

et vindue

vinduet

 

補足:en skeは1音節語なので,-eで終わっていてもskeenと-enを付け加えます.

 

―同じ子音字を2回綴らなければならない名詞―

 語末の音節が{短母音+子音}となる名詞は,単数既知形を作るときに語末の子音字を重ねます.

 

en bus

bussen

en kop

koppen

et glas

glasset

 



4 . 疑問文に対する答え方

 

-答え方:肯定の場合-

 第1課では,疑問文に対する答え方として,Ja / Nej だけを使った答え方を学びました.ここでは,疑問文中の語を用いて答える方法について学びましょう.

 

Er du japaner?

<あなたは日本人ですか?>

 

という問いに対して,例えば次のように疑問文に現れる語を全て使って答えることができます.

 

Ja, jeg er japaner.

<はい,私は日本人です>

 

また,japanerという部分を省略し,疑問文中の動詞 er をそのまま用いて,

 

Ja, jeg er.

<はい,そうです>

 

と答えることもできます.

さらに,japanerという語をdetで代用して答えることもできます.

 

Ja, det er jeg.

<はい,そうです>

 

この答え方が最も頻繁に用いられる答え方です.覚えましょう.

 

-答え方:否定の場合-

それでは,次に否定で答える場合について見てみましょう.

 

Er du japaner?

<あなたは日本人ですか?>

 

という問いに対しても,同様に3通りの答え方が可能です.

 

Nej, jeg er ikke japaner.

<いいえ,私は日本人ではありません>

 

Nej, jeg er ikke.
Nej, det er jeg ikke.

<いいえ,そうではありません>

 

この場合もdetを用いた答え方が最も頻繁に用いられます.

 

-答える際の動詞は?-

 疑問文中の動詞が,どのように答えの文の中に現れるかということについて,もう少し見てみましょう.

 

Er du japaner? – Ja, jeg er japaner.

<あなたは日本人ですか?> - <はい,私は日本人です>

 

では,疑問文中の動詞 er が答えの文中でも用いられています.

 

Har du en lommeregner? - Ja, det har jeg.

<あなたは計算機を持っていますか?> - <はい,持っています>

 

でも,疑問文中の動詞 harが答えの文中でも用いられています.

 

 疑問文中の動詞がerとhar以外の場合には,英語で代用動詞doを使うように,デンマーク語でも代用動詞を使います.それについては次の課で学びます.

 

-代わりをする語 det-

 スキット内の表現で確認したように,Har I ikke sådan en i Japan?に対する答えとしての,Nej, det har vi ikke.の中のdetは疑問文中の Har I ikke以外の代わりをしています.

 それでは,次のような疑問文に対してはどのように答えるでしょうか?

 

Er det en blomst?

<これは花ですか?>

 

答えが肯定の場合には,

 

Ja, det er det.

<はい,そうです>

 

答えが否定の場合には,

 

Nej, det er det ikke.

<いいえ,そうではありません>

 

というように答えるのが一般的です.どちらの場合にも,Ja / Nej の直後に現れているdetがen blomstの代わりをしているdetで,動詞erの後に現れているdetが主語となります.