音節の最初に来る子音のことです。
タイ語の子音の特徴に帯気音(有気音)と不帯気音(無気音)の区別があります。 タイ語のk、c、t、pの子音には、帯気音(有気音)と不帯気音(無気音)の区別があります。発音記号では、帯気音(有気音)の方にkh、ch、th、ph のようにhを付けて表記します。
帯気音(有気音 kh、ch、th、ph)は息をはきだすように発音します。反対に不帯気音(無気音 k、c、t、p)はなるべく息をはきださないように発音します。
頭子音は次の21種類あります。
以下は頭子音の説明と発音例です。説明を読み、音声を聞いて、自分で発音する練習をしてください。
発音例は、子音に短母音aと長母音aaを付けたもので、声調は第一声調です。
| 頭子音 | 発音例 | 説明 | |
| k- | ka kaa | 息を出さない日本語のカ行の音。 | |
| kh- | kha khaa | 息を出す日本語のカ行の音。 | |
| ŋ- | ŋa ŋaa | 鼻濁音のンの音。「ンガ」のように、ガ行の音の前に軽くンを付けて、鼻から息が抜けるように発音する。 | |
| c- | ca caa | 息を出さない日本語のチャ行の音。 | |
| ch- | cha chaa | 息を出す日本語のチャ行の音。 | |
| d- | da daa | 日本語のダ行の音。但しdiは「ディ」、duは「ドゥ」となる。 | |
| t- | ta taa | 息を出さない日本語のタ行の音。 | |
| th- | tha thaa | 息を出す日本語のタ行の音。 | |
| n- | na naa | 日本語のナ行の音。 | |
| b- | ba baa | 日本語のバ行の音。 | |
| p- | pa paa | 息を出さない日本語のパ行の音。 | |
| ph- | pha phaa | 息を出す日本語のパ行の音。 | |
| f- | fa faa | 英語の f の音(上の前歯で下唇を軽くかんで発音する)。 | |
| m- | ma maa | 日本語のマ行の音。 | |
| y- | ya yaa | 日本語のヤ行の音。但し、後続の母音が i 、e の場合、少しにごった音となる。 | |
| r- | ra raa | 「巻き舌」のラ行の音。 | |
| l- | la laa | 英語の l の音(下を震わせないラ行の音)。 | |
| w- | wa waa | 日本語のワ行の音。 | |
| s- | sa saa | 日本語のサ行の音(但し、siは「スィ」となる)。 | |
| h- | ha haa | 日本後のハ行の音。 | |
| ʔ- | ʔa ʔaa | 声門閉鎖音。母音を発音する前に、息を詰めて(声門を閉鎖して)発音することを表す。但し、あまり意識せずに、自然に発音しても問題はない。 | |
二重頭子音とは、上記の頭子音を二つ組み合わせたものです。タイ語の二重頭子音は12あります。最初の子音の後に母音を入れずに続けて二つ目の子音を発音します。実際には、二つ目の子音を脱落させて発音する人も多いようです。しかし、アナウンサーなど正しくタイ語を発音する人は、二重子音としてきちんと発音しています。
以下は二重頭子音の説明と発音例です。説明を読み、音声を聞いて、自分で発音する練習をしてください。
発音例は、子音に短母音aと長母音aaを付けたものです。
| 二重頭子音 | 発音例 | 説明 | |
| kr- | kra kraa | k音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| kl- | kla klaa | k音の後に続けて軽くl音を発音する。 | |
| kw- | kwa kwaa | k音の後に続けて軽くw音を発音する。 | |
| khr- | khra khraa | kh音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| khl- | khla khlaa | kh音の後に続けて軽くl音を発音する。 | |
| khw- | khwa khwaa | kh音の後に続けて軽くw音を発音する。 | |
| tr- | tra traa | t音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| thr- | thra thraa | th音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| pr- | pra praa | p音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| pl- | pla plaa | p音の後に続けて軽くl音を発音する。 | |
| phr- | phra phraa | ph音の後に続けて軽くr音を発音する。 | |
| phl- | phla phlaa | ph音の後に続けて軽くl音を発音する。 | |
語の最後に来る末子音は7つあります。末子音は開音(-ŋ、-n、-m の3つ)と閉音(-?、-k、-t、-pの4つ)の2種類に分けることができます。
この三つの末子音は、日本語話者には全て「ン」に聞こえるかもしれません。それぞれ違う発音ですので、区別できるようにしてください。
| -ŋ | 英語の "sing"(歌う)や "long"(長い)の末子音-ngと同じ発音。日本語では単語の末尾に来ることはないが、「さんかい」(saŋkai 三回)や「バンコク」(baŋkoku)の「ン」の音(下線部)になる。 -ŋでは、口の中で舌をどこにもつけず、宙に浮かせた状態で、鼻から音を抜くように発音する。 発音例 taŋ loŋ troŋ thaaŋ baaŋ phleeŋ |
| -n | 英語の "sun"(太陽)や "town"(町)の末子音-nと同じ発音。日本語の発音では、「かんだ」(kanda 神田)や「さんにん」(sannin 三人)の「ン」の音(下線部)になる。 -nでは、口の中で舌先を前歯の後ろあたりにくっつけて、しっかり発音する。 発音例 kan chon phan khʉʉn tiin rʉan |
| -m | 英語の "come"(来る)の-meや "gum"(ガム)の-mと同じ発音。「かんぱい」(kampai 乾杯)や「さんま」(samma 秋刀魚)の「ン」の音(下線部)になる。 -mでは、唇をきちんと閉じるようにする。 発音例 dam hɛm phim ŋaam dəəm khwaam |
この4つの子音は、語末の音をつめる「促音」となる。日本語のカナ表記では「ッ」(小さなツ)となるります。いずれの子音もピタッと止めて、その後に音や息を出してはいけません。
| -ʔ | 声門閉鎖音といい、短母音で終わる単語の末尾に現れる。日本語で「アッ!」、「ワッ!」と驚いたときに、喉の奥で息を止める要領で発音する。音というよりは息を止める状態を表している。 発音例 sàʔ càʔ tóʔ pɛ̀ʔ phɛ́ʔ phrɔ́ʔ |
| -k | 「がっこう」(学校)と発音するときの小さい「っ」(下線部)の音で、そのあとに続く「こう」を発音する直前で止める。 口の中では、舌の付け根のほうが上あごの奥の柔らかいところにピタッとくっついた状態になる。 発音例 nàk rák mák thùuk yɛ̂ɛk mâak |
| -t | 「ちょっと」と発音するときの小さい「っ」(下線部)の音で、そのあとに続く「と」を発音する直前で止める。 口の中では、舌先が前歯の後ろあたりにピッタリとくっついた状態になる。 発音例 lót cɛ̀t wát châat fàat krìit |
| -p | 「らっぱ」と発音するときの小さい「っ」(下線部)の音で、そのあとに続く「パ」を発音する直前で止める。唇をきちんと閉じる。 発音例 sàp thúp klàp chɔ̂ɔp rûup prìap |
以上でタイ語の発音の学習は終わりです。
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