ビルマ語には、7つの母音があります。[a][i][u][e][ɛ][ɔ][o]です。その母音を示す符号が母音符号です。母音符号は母音を示すだけでなく、同時に、3つの声調を示す機能も持ちます。すなわち、母音と声調を同時に表すのが母音符号です。
母音は、子音文字(字母)の前後に、以下のような符号をつけることによって書き表されます。字母に何も付されていない場合は、母音が[a]で声調は第一声調になります。
音声は字母အを用いた場合のものです。確認してみましょう。
また、符号の書き順も確認してみましょう。字母と母音符号と声調符号を組み合わせた場合、左-字母-上-下-右の順で書きすすめます。表中の-の箇所に字母が入ります。
[a]の母音の第二声調と第三声調を示す符号には表のように二種類あります。字母ခ ဂ ဒ ပ ဝに母音符号[a]が結合する場合には、縦に長い符号
が用いられます。
[u]の母音を示す符号にも表のように二種類あります。字母に介子音符号(+
)が結合した場合には、縦に長い符号
が用いられます。
[ɔ]の母音符号には表のように二種類あります。字母ခ ဂ ဒ ပ ဝに母音符号[ɔ]が結合する場合には、
が用いられます。ただし、ခ ဂ ပに介子音符号
が結合した場合(ချ ခြ ဂျ ဂြ ပျ ပြ)は除きます。
第一声調 | 第二声調 | 第三声調 | |
a | ![]() ![]() -a. |
![]() ![]() -a |
![]() ![]() -a: |
i | ![]() -i. |
![]() -i |
![]() -i: |
u | ![]() ![]() -u. |
![]() ![]() -u |
![]() ![]() -u: |
e | ![]() -e. |
![]() -e |
![]() -e: |
ɛ | ![]() -ɛ. |
![]() -ɛ |
![]() -ɛ: |
ɔ | ![]() ![]() -ɔ. |
![]() ![]() -ɔ |
![]() ![]() -ɔ: |
o | ![]() -o. |
![]() -o |
![]() -o: |
ビルマ語の母音の発音はおおよそ次のようなものです。
[a] ・・・日本語のアと同じ
[i] ・・・日本語のイと同じ。
[u] ・・・日本語のウより唇を丸める。
[e] ・・・日本語のエより口を狭くする。
[ɛ] ・・・日本語のエより口を広くあける。
[ɔ] ・・・日本語のオより口を広くあける。
[o] ・・・日本語のオより口を狭くする。
また、声調については次のように説明されます。
第1声調 ・・・高い位置から急降下し、末尾にゆるい声止めがある。(降声)
第2声調 ・・・低い位置で平坦で、かつ長い。(平声)
第3声調 ・・・高い位置から下降するが、末尾で降り、長い。(抑声)
(第4声調)・・高い位置で平坦で短く、末尾に強い声止めがある。(促音)
ビルマ文字の母音符号を覚え、声調とともに、正しく発音してください。
(例)ကと結合する場合は以下のように書き、発音します。
က ကာ ကား
ကိ
ကီ
ကီး
ကု
ကူ
ကူး
ကေ့
ကေ
ကေး
ကဲ့
ကယ်
ကဲ
ကော့
ကော်
ကော
ကို့
ကို
ကိုး
母音符号の名称と意味:各文字には名称があります。綴りを口頭で伝える時などに便利です。今すぐに覚える必要はありませんが、徐々に覚えていきましょう。
母音符号 | 発音記号 | 名称 | ビルマ文字表記と意味 |
![]() ![]() | [a] | イェーチャ[ye:cha.] | ရေးချ 書いて降ろす |
![]() | [i.] | ロゥンジーティン[loun:ji:tin] | လုံးကြီးတင် 大きな丸を乗せる |
![]() | [i] | ロゥンジーティンサンカッ[loun:ji:tinshankhaʔ] | လုံးကြီးတင်ဆန်ခတ် 大きな丸に米粒つける |
![]() ![]() | [u.] | タチャウンギン[tăchaun:ŋin] | တချောင်းငင် 一本引く |
![]() ![]() | [u] | フナチャウンギン[hnăchaun:ŋin] | နှစ်ချောင်းငင် 二本引く |
![]() | [e] | タウェートー[θăwetho:] | သဝေထိုး 前に突き出す |
![]() | [ɛ:] | ナウッピッ[nauʔpyiʔ] | နောက်ပစ်後ろへ放る |
![]() | [ɛ] | ヤタッ[ya.θaʔ]
ヤペッレッタッ[ya.pɛʔlɛʔθaʔ] | ယသတ် 殺されたya. ယပက်လက်သတ် 殺されたあおむけのya. |
![]() | ― | シェトー[ɕe.tho:] | ရှေ့ထိုး 前に押す |
![]() | ― | アウッカミェッ[auʔka.myiʔ] | အောက်ကမြစ် 下から止める |
![]() | ― | シェガパウッ[ɕe.ɡa.pauʔ] シェズィー[ɕe.zi:] ウィッサフナロゥンパウッ | ရှေ့ကပေါက် ၊ ရှေ့ဆီး ၊ ဝစ္စနှစ်လုံးပေါက် 前の穴 |
ここからは、ビルマ文字習得の最終段階に入ります。ビルマ語には、これまで学習した開音節(母音で終わる音節)のほかに、子音で終わる閉音節があります。それを表記するのが、末子音符号です。
末子音符号は、すでに学習した33の字母のうちのいくつかに ăthaʔをつけることによって表されます。ăthaʔとは「殺すもの(こと)」を意味し、本来の字母の音を抹消し、その子音で音節が終わるような子音に変える役割をします。すなわち、ăthaʔをつけることによって、末子音字が誕生することになります。
主な末子音字は以下のとおりです。
(2)-1.と(2)-2.の音声は字母အを用いた場合のものです。確認してみましょう。
また、符号の書き順も確認してみましょう。字母と母音符号と声調符号を組み合わせた場合、左-字母-上-下-右の順で書きすすめます。
同じ発音で符号が異なるものは単語の区別に用いられます。
第一声調 | 第二声調 | 第三声調 | |
in | ![]() -in. |
![]() -in |
![]() -in: |
aun | ![]() -aun. |
![]() -aun |
![]() -aun: |
ain | ![]() -ain. |
![]() -ain |
![]() -ain: |
an | ![]() ![]() -an. |
![]() ![]() -an |
![]() ![]() -an: |
ein | ![]() ![]() -ein. |
![]() ![]() -ein |
![]() ![]() -ein: |
oun | ![]() ![]() -oun. |
![]() ![]() -oun |
![]() ![]() -oun: |
un | ![]() -un. |
![]() -un |
![]() -un: |
![]() -un. |
![]() -un |
![]() -un:(-wan:) |
末子音符号を覚え、字母と結合する時の発音を練習してください。
(例)ကと結合する場合は以下のように書き、発音します。
ကင့်
ကင် ကင်း
ကောင့်
ကောင် ကောင်း
ကိုင့်
ကိုင် ကိုင်း
ကန့်
ကန် ကန်း
ကံ့ ကံ ကမ်း
ကိန့်
ကိန် ကိန်း
ကိမ့်
ကိမ် ကိမ်း
ကုန့်
ကုန် ကုန်း
ကုံ့ ကုံ ကုံး
ကွန့်
ကွန် ကွန်း
ကွံ့ ကွံ ကွမ်း
ကက်
ကောက်
ကိုက်
ကစ်
ကတ်
ကပ်
ကိတ်
ကိပ်
ကုတ်
ကုပ်
ကွတ်
ကွပ်
ビルマ文字には、以下のような特殊な文字もあります。書き順と発音を確認して、覚えましょう。
ビルマ数字は次のとおりです。書き順と発音を確認して、覚えましょう。
1,2,3,4…と数え上げる場合には၇(7)を[khun]と発音することがあります。