インド西部のマハーラーシュトラ州で話されている言語がマラーティー語です。マラーティー語はインド・アーリヤ諸語に属し、インドに21ある公用語の一つとなっています。話者人口はおよそ7000万人、文字はサンスクリット語やヒンディー語、ネパール語と同じデーヴァナーガリー文字を用います。
マハーラーシュトラ州はボンベイ(現ムンバイー)の帰属が争点となって、言語州が成立したのが1960年と他州よりも遅れました。貿易港として栄えていたボンベイがどこの州に入るかは、重大な問題だったのです。実際ムンバイーのマラーティー語話者は4割ほどしかおらず、マラーター文化の中心は内陸部のプネーといえます。
プネーはマラーター王国の宰相(ペーシュワー)の都でした。現在は各種の研究所や大学が集まり、「インドのケンブリッジ、オックスフォード」とも言われています。ペーシュワーがアラビア海に面したコンカン地方出身のバラモン(僧侶階級)であったせいか、プネーの文化は「バラモン的」だとも言われています。ここでは初級マラーティー語とともに、プネーを中心としたマハーラーシュトラの文化紹介も行いたいと思います。一見地味なマハーラーシュトラですが、伝統を重んじながらも進取の気性に富んだマハーラーシュトラの人々と文化の特徴を少しでもご紹介できたらと思います。
マハーラーシュトラ州のプネーに暮らすある女子大生の家族の日常生活を題材にした映像で会話例を聞き、各場面で必要な言い回しを覚えましょう。10日間で1課ずつ進み、4か月で終えるのを目標にしてください。