第6課 医者に行く Pergi ke Dokter

●文化紹介

Ⅰ.電話とインターネット

携帯電話の普及

 つい最近までインドネシアでは個人の家に必ずしも電話があるとは限らず、よくwartel(warung teleponの略)と呼ばれる電話局で電話をしていました。電話局で電話をして、通話料を会計で支払うというシステムです。この小さな電話局は現在もインドネシアのいたるところにあります。

 

 しかしながら、携帯電話の普及によって、電話事情は近年大きく変わりました。インドネシアの携帯電話は、多くの場合、前払い方式です。携帯電話機とは別に、番号を買い、それから一定の通話料金(pulsa)を買って電話をします。例えば50,000ルピア分の通話料を支払って、使い切ったら、また買い足すということになります。

 

 また、電話をするよりも、SMS(ショートメッセージ)を送った方が安く済むため、簡単なやり取りはSMSで行われることが一般的になりました。SMSはメールアドレスではなく、携帯番号に送ります。相手が使っている電話会社が自分のものと違っていても、携帯番号さえわかれば、SMSを送ることができます。SMSでは日本の携帯メールと同様に、できる限り文字数を減らそうとするため、省略語が多用されます。例えば、terima kasih がtrmsになったり、datangがdtgになったりします。そのため、慣れていないと、SMSのインドネシア語は理解するのが大変です。

 

 インドネシアでは、facebookなどのSNS利用者数が非常に多いのですが、最近は、スマートフォンの流行によって、さらに利用率が高くなりました。

 

 インターネットは、warnet(warung internetの略)と呼ばれるインターネット・カフェが街中にあり、そこで利用されています。他にもカフェなどで、無料でWiFiを使わせてくれるところが多く見られます。

 

 

Ⅱ.病気

風邪をひく

 インドネシア人は「風邪をひく(masuk angin)」ことを、悪い風(angin)が身体の中に入ってくる(masuk)と考えています。そのため、風邪を治すためには身体の中に入ってきた風を追い出すことが必要になります。伝統的には、マッサージをおこなったり、硬貨を肌にこすりつけたりして、悪い風を追い出そうとします。

 

伝統漢方薬 ジャムー

 ジャムー(jamu)と呼ばれる薬効のある植物を煎じたインドネシア式漢方薬があり、体調が思わしくない時にはこれを飲んで回復を待つことがしばしばあります。ジャムーは、ジャムー売りの女性が売りに来ることもあれば、最近は粉末化されて商品として流通しているため、これを自分でお湯に溶いて、飲む場合もあります。様々な効能があり、体調改善以外にも、美容、精力回復用などのジャムーがあります。

 

伝統的治療師 ドゥクン

 ドゥクン(dukun)とは伝統的治療法を用いて病や怪我を治したり(ホワイトマジック)、逆に人々に呪いをかけ、苦しめたりする(ブラックマジック)呪術師のことです。治療法はドゥクンによって異なり、薬草、祈祷、マッサージなどによって患者を治します。近代的医療が当然となった現代においても、インドネシアの人々は呪術師の力を信じていて、病院に行っても病気が直らない時、または病院にかかるお金がない時などに、ドゥクンを訪ねます。捻挫や打撲をした時にも、病院には行かずに、ドゥクンにお願いをしてマッサージをしてもらうことがよくあります。

 

熱帯特有の病気

 インドネシアにはコレラやアメーバ赤痢などの熱帯特有の様々な病気がありますが、その中でも特に人々が悩まされている伝染病の一つにデング熱(demam berdarah)があります。特定の種類の蚊(ヒトスジシマカなど)によって伝染し、今のところ予防法はその蚊にさされないようにすることしかありません。この蚊が発生する季節になると、殺虫剤をまいて、蚊の除去をおこなっています。