結婚式は宗教・地域・種族によってやり方や内容にかなり違いは見られますが、多くの場合、宗教儀礼の後、結婚パーティーが盛大に開かれます。会場として、花嫁の家やホテルなどが開放され、招待客は家族や知人とともに大勢やってきます。客は到着すると、まず新郎新婦に会い、お祝いの言葉を述べます。そのあと、会場に用意された立食形式の食事を簡単にとってから帰っていきます。新郎新婦は1日中、客の挨拶を受け続けます。数日にわたってパーティーが行われる場合もあります。
結婚式によい日取りが暦の上で決まっているため、同じ日に多くの結婚式が開かれていることがあります。会場前には目印として、やしの葉でできた飾り(janur)が吊り下げられているため、よくわかります。
スキットのなかで、ゆきがクバヤを着るように指示されていますが、客は民族衣装などの正装で出かけます。クバヤはジャワの女性が着る民族衣装(一種のブラウス)で、下にはバティック(ロウケツ染め)の腰巻を纏います。これは今やジャワだけではなく、インドネシア女性の正装になっています。男性の場合は、バティックのシャツに黒ズボンというスタイルが一般的です。新郎新婦は民族衣装が多いですが、ウェディング・ドレスの場合もあります。日本のお色直しのように、両方着る場合もあります。



イスラム教徒は1日に5回祈ることが義務付けられています。subuh(夜明け前)、zuhur(昼12時頃)、asar(午後3時頃)、 magrib(夕方6時頃)、isya(夜8時頃)の5回です。それぞれ祈りの時間が来ると、近くのモスク(mesjid)や礼拝所(mushola)からアザーン(azan)と呼ばれる祈りの呼びかけが大音量で聞こえてきます。金曜日の昼は、男性のみ礼拝が義務付けられているので、男性はモスクに集まり、説教を聞きます。そのため、金曜の昼は昼休みが長かったり、仕事は午前中のみという場合があります。
いたるところに、礼拝所が用意されていますので、外出中であっても祈る場所には困らないようになっていますが、まずは祈りを済ませてから外出という人も多いです。特に、女性の場合は祈る際に、ムクナ(mukena)という全身を包む白い装束を着ける必要があるため、男性より手間がかかります。
ただし、旅行や病気などの理由により、5回祈ることができない場合には、祈りが免除されたり、略式の祈りを行ったり、祈りをまとめて行なったりすることもあります。



インドネシア人は最低、朝夕2回、水浴び(mandi)をします。温水ではなく、水を使うのが一般的です。石鹸で身体を洗って、水で流します。湯船に入る習慣はありませんので、風呂場にあるのは、小さな水貯め場のみです。
スキットのなかで、ゆきが指示されていますが、インドネシアでは、朝はもちろん、夜外出する際も、まずマンディをしてから出かけます。「まだマンディをしていない」と言ったら、冗談で"Bau !"(「くさい」)と言われます。
トイレでも、用を足した後、トイレット・ペーパーではなく、水を使います。この時、左手を用いますので、左手は不浄の手ということになります。インドネシアのトイレには、必ず、水汲み用のバケツか、水が出るホースが設置されています。モールなどに行けば、トイレット・ペーパーも用意されていることがありますが(係員に手渡しされることがあります)、これは水で洗った後に、それを拭くための紙として使われます。
ちなみに、インドネシア語でトイレはkamar kecilですが、kamar mandi「風呂場(水浴び場)」がトイレと一緒になっている場合も多いです。田舎では、kamar kecil ではなく、kamar mandiと言わなければ、通じない場合もあります。