第10課 パーティの前後

●会話表現

 ここでは,第10課のスキット内で使われている会話表現をもとに,初歩的な会話表現について見ていくことにしましょう.

 

1. 時刻に関する表現

 第10課のスキットでは,時刻に関する様々な表現が使われています.それらの表現に関連するその他の表現にも触れながら,時刻に関する表現について,これから学習していきましょう.

 

―時刻を尋ねる場合―

 スキットでは,リーヴァがジュンコに次のように時刻を尋ねています.


Hvad er klokken?  (時刻は)何時ですか?

時刻を尋ねるときに用いられる表現です.非常によく用いられるので,覚えましょう.

 






―時刻を伝える場合―

 スキットでは,時刻を尋ねられたジュンコが次のように答えています.


Kvart i seks.  17時45分です.

この言い方は,Den er kvart i seks. <(時刻は)17時45分です> から Den er が省略されたものです.実際の会話では,この省略された形態がよく用いられます.

 

 以下では,時刻の表し方についてさらに詳しく見ていくことにしましょう.

 






・1時など丁度の時刻の場合

 

 時刻が1時,2時など丁度の時刻には次のように言います.時刻を表す場合には主語としてden あるいはklokkenのどちらかが用いられます.(音声はdenが主語のものです.)

 

Klokken / Den er ét.  1時です.

Klokken / Den er to.  2時です.

 




・1時~分という時刻の場合

 

 そして例えば1時1分から1時20分までだと,<~(分)過ぎ> を表す前置詞overを用いて,次のように「1時から何分過ぎ」と言います.

 

Klokken / Den er ét minut over ét.  1時1分です.

Klokken / Den er syv minutter over ét.  1時7分です.

Klokken / Den er tyve minutter over ét.  1時20分です.

 

 ただし15分過ぎは,<15分> を表す名詞kvart (-en, -er ) あるいはkvarter (-et, -) を用いて次のように言います.

 

Klokken / Den er kvart over ét.  1時15分です.

あるいは

Klokken / Den er et kvarter over ét.  1時15分です.

 

注意!

 例文では,kvartはゼロ形で,そしてkvarterは不定冠詞etを伴って使われています,実際には,kvart に不定冠詞を付けて Klokken/Den er en kvart over et. とい言い方もありますし,kvarter に不定冠詞を付けないで Klokken/Den er kvarter over et. という言い方もよくします.


 



 

 そして例えば1時40分から1時59分までだと,<~(分)前> を表す前置詞iを用いて,次のように「2時に何分前」と言います.

 

Klokken / Den er ét minut i to.  1時59分です.

Klokken / Den er syv minutter i to.  1時53分です.

Klokken / Den er tyve minutter i to.  1時40分です.

Klokken / Den er kvart i to.  1時45分です.

あるいは

Klokken / Den er et kvarter i to.  1時45分です.

 

 そして例えば1時30分は「2時に向かって半時間進んだ」ということで,次のように言います.

 

Klokken / Den er halv to.  1時30分/1時半です.

 

 そして例えば1時21分から1時29分までだと,次のように「1時半に何分前」と言います.

 

Klokken / Den er ni minutter i halv to.  1時21分です.

Klokken / Den er ét minut i halv to.  1時29分です.

 

 そして例えば1時31分から1時39分までだと,次のように「1時半から何分過ぎ」と言います.

 

Klokken / Den er ét minut over halv to.  1時31分です.

Klokken / Den er ni minutter over halv to.  1時39分です.

 




・1日のどの時間帯であるかを伝えたいときは

 

 また,一日の時刻は,om morgenen <朝に>,om formiddagen <午前中に>,om eftermiddagen <午後に>,om aftenen <夕方・晩に>,om natten <夜中・未明に> を用いて,次のように言います.

 

Klokken er seks om morgenen.  時刻は午前6時です. ← 朝の6時です.

Klokken er ti om formiddagen.  時刻は午前10時です. ← 午前の10時です.

Klokken er tre om eftermiddagen.  時刻は午後3時です. ← 午後の3時です.

Klokken er otte om aftenen.  時刻は午後8時です. ← 晩の8時です.

Klokken er to om natten.  時刻は午前2時です. ← 夜中の2時です.

 




・駅構内でのアナウンス

 

 デンマークへ旅行に行く場合などは,駅構内で列車が何時に発着するかというアナウンスを聞き取ることが重要になります.駅などの列車の発着を告げるアナウンスなどでは24時間制を用いて次のように言います.

 

Toget fra Odense ankommer kl. 17:16 (=sytten seksten).

 オーゼンセからの列車は17時16分に到着いたします.

[ankomme (ankom , ankommet ):到着する]

 

Toget til Helsingør afgår kl. 12:45 (=tolv femogfyrre).

 ヘルスィングウーア行きの列車は12時45分に出発いたします.

[afgå (afgik , afgået ):出発する]

 




―何かが始まる時刻を尋ねる場合―

 スキットでは,ジュンコがリーヴァに次のように「何時にパーティが始まるのか」を尋ねています.


Hvad tid begynder festen egentlig?  パーティはいったい何時に始まりますか?

Hvad tid という疑問詞句で,「何時に」を表します.また,「何時に~をする」という文では,klokkenはkl. のように略されて,例えば次のようになります.

 

Jeg stod op kl. halv otte i går.  私は昨日7時半に起床しました,

[stå op :起床する]

 





2. 健康状態に関する表現

 第10課のスキットでは,健康状態に関する様々な表現が使われています.それらの表現に関連するその他の表現にも触れながら,健康状態に関する表現について,これから学習していきましょう.

 

―相手の健康状態を尋ねる―

 スキットでは,リーヴァがジュンコの調子を尋ねて次のように言っています.


Hvordan går det?  調子はどうですか?

相手の調子を尋ねて,<ごきげんいかがですか?;調子はどうですか?> という表現は次のように3通りあります.

 

(1) Hvordan har du det?

(2) Hvordan går det?

(3) Hvordan står det til?

 

(1) は特に相手の健康状態を話題とするのに対して,(2) と (3) は健康状態以外に仕事やその他の状況一般に関しても用いることができます.

 

例えばスキットでは,料理をしているリーヴァに対して,ジュンコが調理の状況について次のように尋ねています.

 

Hvordan går det med maden?  食事(料理)の様子はどうなっていますか?

 

他にも次のような場合に hvordan går det med ~ ? という訊き方をすることができます.

 

Hvordan går det med dit arbejde?  あなたの仕事の調子はどうですか?

Hvordan går det med din far?  あなたのお父さんの調子はどうですか?

 






・健康状態についての問いかけに答える

 上で見た質問に対する返答としては,次のように言います.

 

(1) Hvordan har du det? 調子はいかがですか?

-Jeg har det godt, tak.  良いです,どうも.

-Jeg har det fint, tak.  良いです,どうも.

-Jeg har det ikke så godt.  あまり良くありません.

 

(2) Hvordan går det? 調子はいかがですか?

-Det går godt, tak.  良いです,どうも.

-Det går fint, tak.  良いです,どうも.

-Det går ikke så godt.  あまり良くありません.

 

(3) Hvordan står det til? 調子はいかがですか?

-Det står godt til, tak.  良いです,どうも.

-Det står fint til, tak.  良いです,どうも.

-Det står ikke så godt til.  あまり良くありません.

 

(1) - (3) のどの質問であっても,次のように省略した答え方をすることができます.

Godt, tak.  良いです,どうも.

Fint, tak.  良いです,どうも.

Ikke så godt.  あまり良くありません.

 




・どこが悪いのかを尋ねる

 健康状態を尋ねた場合に,Ikke så godt. のように <あまり良くありません> という返答があれば,次のようにして <どこが悪いのですか?> ということを尋ねることができます.

 

Hvad er der i vejen?  どこが悪いのですか?

[vej (-en, -e):道,道路]

[er i vejen:~が支障になっている;具合が悪い]

Hvad fejler du?  どこが悪いのですか?

[fejle (-ede, -et):患う]

Er der noget galt?  何か具合の悪いことがありますか?

[gal (-t, -e):悪い]

 




―「~が痛い」ことを伝える―

 スキットでは,ジュンコがリーヴァに「頭が痛かった」ということを次のように伝えています.


Jeg havde faktisk ondt i hovedet i formiddags.
 私は実のところ午前中頭が痛かったです.

〔have ondt i ~〕

という表現で,<~が痛い> という意味になります.~ の部分には主語自身の体の部位が入るので,hovedetのように名詞の既知形になります.

 

また,<~がひどく痛い> というときには,形容詞forfærdelig やfrygtelig を程度の副詞として副詞的に用いて次のように表現します.

 

have forfærdelig ondt i hovedet:頭がひどく痛い

have frygtelig ondt i hovedet:頭がひどく痛い

 






―語彙を増やしましょう!―

 ここで頭以外の体の部分が痛い場合の表現を確認しながら,体の部位を表す名詞も覚えましょう.

 

have ondt i maven  おなかが痛い

[mave (-n, -r):おなか]

have ondt i tænderne  歯が痛い

have ondt i en tand  ある歯が痛い

[tand (-en, tænder ):歯]

have ondt i halsen  のどが痛い

[hals (-en, -e):のど]

have ondt i nakken  首筋が痛い

[nakke (-n, -r):首筋]

have ondt i læberne  唇が痛い

[læbe (-n, -r):唇]

 

have ondt i munden  口が痛い

[mund (-en, -e):口]

have ondt i næsen  鼻が痛い

[næse (-n, -r):鼻]

have ondt i ansigtet  顔が痛い

[ansigt (-et, -er):顔]

have ondt i øjnene  (両)目が痛い

have ondt i det venstre øje  左目が痛い

[øje (-t, øjne ):目]

have ondt i ørerne  (両)耳が痛い

have ondt i det højre øre  右耳が痛い

[øre (-t, -r):耳]

have ondt i brystet  胸が痛い

[bryst (-et, -er):胸]

have ondt i hænderne  (両)手が痛い

have ondt i hånden  手が痛い

[hånd (-en, hænder ):手]

have ondt i fingrene  指が痛い

[finger (-en, fingre ):指]

have ondt i armene  (両)腕が痛い

have ondt i armen  片腕が痛い

[arm (-en, -e):腕]

have ondt i skuldrene  (両)肩が痛い

have ondt i skulderen  片方の肩が痛い

[skulder (-en, skuldre ):肩]

have ondt i benene  (両)脚が痛い

have ondt i benet  片方の脚が痛い

[ben (-et, ben):脚]

have ondt i fødderne  (両)足が痛い

have ondt i foden  片方の足が痛い

[fod (-en, fødder ):足]

have ondt i tæerne  足の指が痛い

[tå (-en, tæer ):足の指]

have ondt i lænden  腰が痛い

[lænd (-en, -er):腰]

have ondt i ryggen  背中が痛い

[ryg (-gen, -ge):背中]

 




・体の調子について伝えるその他の表現

 「~が痛い」という表現の他にも,例えば以下のような表現は覚えておくと便利でしょう.

 

Jeg er forkølet.  私は風邪をひいています.

[forkølet (-ede):風邪をひいた]

Jeg har feber.  私は熱があります.

[feber (-en, febre):熱]

Jeg har tømmermænd.  私は二日酔いです.

 




―具合が悪い相手に向けて―

 スキットでは,リーヴァがジュンコの体調を気遣って,電話の最後に次のように言っています.


God bedring!  お大事に(なさってください)

相手の回復を願っていることを伝える表現です.よく使われますので,覚えましょう.





3. 感謝の気持ちを伝える2

 スキットでは,電話をくれたリーヴァにジュンコが次のように言っています.


Tak for sidst!  この前はありがとう!

この表現は,パーティに呼ばれた後だけでなく,何かを手伝ってもらったりあるいは一緒に何かをしたりした後で,再会したときにデンマーク人が必ずと言っていい程によく使う表現です.ぜひ覚えましょう.

 

 これ以外にもTak for ~! を使ったお礼の表現を覚えましょう.

 

Tak for i dag!  今日はありがとう!

Tak for i aften!  今夜はありがとう!

Tak for nu!  今の所はこれでありがとう!

Tak for i går!  昨日はありがとう!

Tak for i søndags!  この前の日曜日はありがとう!

Tak for gaven!  プレゼントをありがとう!

[gave (-n, -r):プレゼント]

Tak for hjælpen!  手伝って/助けてもらってありがとう!

[hjælp (-en):手伝い;助け]

Tak for besøget!  訪問ありがとう!

[besøg (-et, besøg):訪問]

Tak for lån (af bogen)!  (本を)貸してもらってありがとう!

[lån (-et, lån):借りること]

Tak for mad!  ごちそうさま!

Tak for kaffe!  コーヒーをありがとう!

Tak for te!  お茶をありがとう!

Tak for skænken!  飲み物をありがとう!

[skænk (-en, -e):アルコールの入った飲み物の一杯]

Tak for snakken!  話してくれてありがとう!

[snak (-ken, -ke):話すこと]

 





4. その他の便利な表現

―電話に出るとき―

 スキットでは,ジュンコとリーヴァの電話での会話は次のようです.


Det er Junko.  ジュンコです.
Hej, det er Liva.  こんにちは,リーヴァです.

電話での会話の冒頭では,[det er 自分の名前] という言い方が用いられます.日本語の,「はい,もしもし(誰々)です」にあたります.






―相手に何かを頼むときに―

 スキットでは,リーヴァがジュンコに何かしてもらうように,お願いする場合に次のように言っています.


Gider du måske dække bord?  テーブルセッティングをしてもらえますか?
Gider du godt lukke op?  開けてもらえますか?

Gider du ~ ? という疑問文の形で,丁寧な依頼文としてよく用いられます.副詞godtを入れると,依頼する気持ちがより強まります.

 

Gider du godt slukke fjernsynet?  テレビを消してもらえますか?

[slukke (-de, -t):消す]

Gider du godt tænde lyset?  明りを点けてもらえますか?

[tænde (tændte, tændt):点ける]

[lys (-et, lys):明り]

 

また,上記の例文中の動詞句では,

 

dække bord  テーブルセッティングをする

lukke op  (ドアなどを)開ける

 

動詞ではなく,動詞に続く名詞あるいは副詞に強勢が置かれていることに注意していください.

 






―相手に何かをすることを約束する―

 スキットでは,リーヴァからお願いを受けたジュンコが次のように言っています.


Ja, det skal jeg nok.  はい,きっとそうします.

この文中のskalは,話し手がある行為を実行することを聞き手に約束していることを表しています.また,nokも請け負いを表す副詞です.

Det skal jeg nok. という表現は,よく用いられる表現ですので,ぜひ覚えましょう.

 






―何とかなります―

 スキットでは,ジュンコに何か手伝うことはないかと聞かれたリーヴァが次のように言っています.


Det går nok.  何とかなります.

この表現は,「何とかなります」や「きっとうまく行きます」などという意味を表しますが,日常会話で非常によく使われる表現です.他にDet skal nok gå. <きっとうまく行きます> という言い方もあります.