これまでの課では,完結文の語順について学びました.この課では,従位節内の語順について学習しましょう.従位節は第8課でも述べたとおり,単独では完全な文としては成立しないので,従位節内は完結文の語順は適用されません.従位節には,従位節の語順というものがあります.
それでは従位節を含んだ例を使って,従位節での文構成要素がどのような順番になっているのかを確認してみましょう.以下の文では,jeg tror <私は~と思う> の部分が主節で,at以下が従位節です.ここでは,at以下に注目します.
まず,従位節内の初めの要素として,「従位接続詞 (at)」が置かれています.この従位節の初めの要素が置かれる場所のことを「従位接続語域」と呼びます.(従位節は文中の一要素なので,前域(文頭域)が存在しません.)それに続いて,「主語 (jeg)」,「副詞的語句 (gerne) 」,「定形動詞 (vil)」が置かれている場所を「中域」と呼び,最後に「不定形動詞 (bestille)」そして「目的語 (en bøf)」が置かれている場所を「後域」と呼びます.
表に示すと以下のようになります.
| 従位接続語域 | 中域 | 後域 | |||
| 主語 | 中域副詞 | 定形動詞 | 不定形動詞 | その他の要素 | |
| at | jeg | gerne | vil | bestille | en bøf. |
➢ 従位接続語域には,従位接続詞の他に,関係詞や疑問詞などが置かれます.
➢ 主語は,必ず従位接続語域の直後に置かれます.
➢ 中域副詞の位置は,完結文の語順とは異なり,主語と定形動詞の間です.
これまでに習った例文のうち,従位節を含むものをいくつか以下に挙げます.(従位節は赤字部分です.)その下の表で,例文中の従位節の語順を確認しましょう.
Det sner ret meget i det område, hvor jeg kommer fra.
Vi legede tit sammen, da vi var børn.
Hvis du har tid, kan vi tage derud.
Hvor meget koster det, når vi kører fra Østerport?
Det koster 26 kr., fordi der er fire zoner til Klampenborg.
Jeg tror, det tager ca. ti minutter.
Hvad med den restaurant, Liva arbejder på?
Engelsk bøf er en stegt skive oksekød med brunede løg, altså "steak and onions" på engelsk, mens dansk bøf er en hakkebøf med brunede løg.
Så må jeg finde på noget andet, der er billigere.
| 従位接続語域 | 中域 | 後域 | |||
| 主語 | 中域副詞 | 定形動詞 | 不定形動詞 | その他の要素 | |
| hvor | jeg | kommer | fra | ||
| da | vi | var | børn | ||
| hvis | du | har | tid | ||
| når | vi | kører | fra Østerport? | ||
| fordi | der | er | fire zoner til Klampenborg | ||
| (at) | det | tager | ca. ti minutter | ||
| (som) | Liva | arbejder | på | ||
| mens | dansk bøf | er | en hakkebøf med brunede løg | ||
| ――― | der | er | billigere | ||
➢ 従位接続詞atや関係代名詞somは,省略される場合があります.
➢ 関係代名詞somは,従位接続語域にあると解釈されるのに対して,関係代名詞derは中域の主語の位置にあると解釈されます.
従位節内の語順は,完結文とは異なる点に留意して,しっかり覚えるようにしましょう.
注意!
第5課の文法解説で触れたように,接続詞の中には,完結文の前域の直前に置くことのできるものもありました.
| 接続詞 | 前域 | 中域 | 後域 | |||
| 定形動詞 | 主語 | 中域副詞 | 不定形動詞 | その他の要素 | ||
| og | der | er | også | en lampe i loftet | ||
| men | der | er | ikke | nogen tæpper på gulvet | ||
| så | jeg | vil | selv | købe | et lille tæppe | |
| for | i juli og august | er | der | tyfoner | ||
このように,完結文の語順をとる節を導く接続詞のうち,og <そして> や men <しかし> などは,等位接続詞と呼ばれます.また「理由」を表す for <なぜなら,というのも> やså <それで,なので> は同位接続詞と呼ばれます.
ogやmenなどの等位接続詞,そしてforやsåという同位接続詞が導く節は,同じ完結文の語順をとるにもかかわらず,異なる接続詞として区別されています.それは,両者には次のような違いが存在するからです.
まず,等位接続詞を使った例文を見てください.
Jeg er sulten, og jeg er tørstig. 私はお腹が空いていて,そして喉が渇いています.
この例文では,① jeg er sulten と ② jeg er tørstigという文が等位接続詞ogによって結びつけられたものです.等位接続詞の特徴は,①と②の文を原則として入れ替えることが可能だということです.
Jeg er tørstig, og jeg er sulten. 私は喉が渇いていて,そしてお腹が空いています.
等位接続詞menの場合も同じです.
Jeg er ikke sulten, men jeg er tørstig.
私はお腹は空いていませんが,喉が渇いています.
Jeg er tørstig, men jeg er ikke sulten.
私は喉が渇いていますが,お腹は空いていません.
次に同位接続詞såを使った例文を見てみましょう.
Jeg er sulten, så jeg vil gerne have noget at spise.
私はお腹が空いています,なので何か食べるものが欲しいです.
等位接続詞の場合と同様に,文を入れ替えるとどうなるでしょうか?
×Jeg vil gerne have noget at spise, så jeg er sulten.
?私は何か食べるものが欲しいです,なのでお腹が空いています.
したがって,同位接続詞の特徴は結び付けられている文を入れ替えることができないことにあります.
もう1つの同位接続詞forの場合も同様です.
Jeg vil gerne have noget at spise, for jeg er sulten.
私は何か食べるものが欲しいです,なぜならお腹が空いているからです.
×Jeg er sulten, for jeg vil gerne have noget at spise.
?私はお腹が空いています,なぜなら何か食べるものが欲しいからです.